負けたくない3 ページ11
受話器から聞こえた声に
一瞬気が遠くなったけど、すぐに気を取り直した
なぜって、そんな事をしている暇はないから
アイツの電話に何でアキさんが出るのか
正直いい気はしなかったけど
それどころではない
「あの、チャンミンに変わって欲しいんですけど」
「あぁ、チャンミンは
飲みすぎたみたいで寝てるの」
え...
「明日は休みだって言ってたし、部屋もたくさんあるから私は泊まっていって貰って構わないんだけど...起こした方がいい？よく寝てるみたいだから可哀想じゃない？」
こんな遅い時間の電話
何かあったのかと考えるのが普通なのに
こちらの用件も聞かず
「可哀想じゃない？」
そう口にしたアキさん
まるで恋人のような口ぶりと無神経さに
久しぶりに他人に腹が立った
だけど
妻としてのプライド
「...わかりました。
すみません、ご迷惑をお掛けして。
よろしくお願いします」
怒りを抑えてそう言い電話を切った
少しだけ冷静になって
こんな時に張り合ってしまった
バカらしい程ちっぽけなプライドに
思わず笑ってしまった
「ふふっ...(笑)」
"よく寝てるみたいだから"
いくらたくさんお酒を飲んだからって
結婚してるのに他の女性の家に泊まるなんて
信じられない
しかも相手は噂のあった
心が真っ黒い闇に覆われていく
私は目を閉じて
「スゥ...ハァ... 」
大きく深呼吸すると気持ちを切り替えた
私は母親
熱を出して辛い想いをしてる結愛が頼れるのは
私しかいないんだ
しっかりしなくちゃ！
そう自分に言い聞かせ
久しぶりに運転する夜の道
「結愛〜もうすぐ着くからね〜」
グズる結愛を乗せて車を走らせた
15分程車を走らせて着いた病院
診断結果は
「たぶん突発性発疹だと思うけど...」
案の定、赤ちゃんの初めての発熱に多い
突発性発疹だった
「高熱がずっと続くようだったり、様子がおかしいと感じたらすぐに病院に連れてくるように」
「はい、ありがとうございました」
熱冷ましの薬も貰って
少しだけ不安が和らいだ
家に帰ると真っ暗で
相変わらずアイツは帰って来てはいなかった
薬が効いたのか
ようやく結愛が眠りにつき
とりあえず
ホッと胸を撫で下ろした
その後もトロトロしながらも
結愛の様子が心配で
ほとんど眠れないまま朝を迎えた
結局アイツは帰って来なかった
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作者名：ami
| 作成日時：2013年11月15日 8時
