穴があったら入りたい... ページ29
翌日
いつもの居酒屋で岡田さんの歓迎会が行われた
私の隣にはもちろんアイツ
ニギニギと私の手を弄るアイツを見て
「相変わらずだね」
呆れたようにあやが言う
いつもの見慣れた光景
そんな中、岡田さんが笑顔で挨拶をして
「「「「カンパーイ！！」」」」
歓迎会が始まった
すると始まってすぐ
「シムちょっと」
近くに座る課長がご機嫌な様子でアイツを呼んだ
なぜなら課長のお気に入りだから
「え？僕...」
行きたくない...
アイツが潤んだ瞳で訴えてきた
そんな顔されたら
繋いでる手を離したくないけどそうもいかない
「大丈夫だよ(笑)」
笑顔でアイツを送り出した
その途端、空いた席に
滑り込むように岡田さんがやって来た
うわっ！最悪...
仕方なくとりあえずビールを注ぐ
「どうぞ」
「ありがとう、竹内(笑)」
悪い人ではないんだよね、多分
「ねぇ...シムがすごい顔してるよ」
隣に座るあやに言われアイツを見ると
怖っ...！
今にも岡田さんに食ってかかりそうな顔で
こっちを見ている
大丈夫、大丈夫...
アイツを落ち着かせる為
笑顔で頷いた
そんな私の左手を岡田さんが握り締めてきた
「離して下さい...」
アイツに気付かれないよう小声で言う
でもきつく握られた左手は
引っ張っても離してもらえない...どころか
「ねぇ、この指輪外す気ないの？」
あろうことか指輪を弄り始めた
いくら上司とはいえ許せない
「ありません！」
シーン...
静まり返る部屋
・・・ヤバイ
大声で叫びすぎた
「...プッ(笑)」
岡田さんが笑い出した事で
再びざわつく皆
「竹内お前サイコーだよ！」
岡田さんが私の頭をポンポンと撫でた
思わず顔が赤くなる私
「岡田さん、それくらいにしないと...
シムが課長に怒られちゃいますから」
事情を知ってるあやが助けてくれた
見ると注いでいるビールを
ドクドクと零しまくってるアイツ
ここははっきり言わないと
「岡田さん、私は離婚するつもりはありません。
からかうのもいい加減にして下さい！」
よし！言ってやった！
そう思っていたのに
「でもまだ子供もいないでしょ？
だったら・・・」
その時突然アイツが立ち上がった
なに！？
「僕達は毎晩の様に愛し合ってますから
子供ができるのも時間の問題です！！」
シーン...
再び静まり返る部屋
どうして...？
穴があったら入りたい...(泣)
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作者名：ami
| 作成日時：2013年9月10日 11時
