強い二人に ページ30
居酒屋の夜から
すっかりアイツに懐いた様子の幸哉
口を開けば
「チャンミンさん、チャンミンさん！(笑)」
アイツの名前を呼んでいる
そんな幸哉をアイツも
「なんだか弟ができたみたい」
そう言って可愛がっている(誰？ドリフのばか兄弟って言ったの)
だけど、無情にも別れの日はやってきて(大げさ)
その日、アイツが早番で帰って来るのを
私と一緒に待っていた幸哉
リビングに飾られた写真を手にして
私に言った
「A、俺...沙耶の事ようやく忘れる事ができそうだよ。いつか、Aとチャンミンさんみたいにお互いにこの人だけって思える人を見つけるよ」
そんな幸哉の後ろ姿を見ながら
「そうだね。幸哉ならいつかきっとそんな人と巡り合えるよ」
私は心からの言葉を贈った
「ただいま〜」
夕方になりアイツが帰って来ると
「A、チャンミンさん...
お世話になりました」
「またいつでも来ていいから(笑)」
幸哉は玄関先で深々とお辞儀をし
アイツの言葉に頬に深くエクボを作って
「ありがとうございました！じゃあまた」
「うん、またね」
「今度飲みに行きましょうね！(笑)」
笑顔でこの家を出て行った
まさかアイツが
「いつでも来て」
幸哉にそんな事を言うようになるなんて
想像もしてなかった
今回幸哉が同居した事で、というより
幸哉の言った一言で
簡単にすれ違ってしまった私とアイツの気持ち
「早く出ていって貰おう」
始まりからして
穏便ではなかった幸哉との同居生活だけど
もう誰の言葉にも揺れたりしない
強い二人になりたい
そんな新たな想いが生まれた
私にとって実に思い出深い同居生活になった
「行っちゃいましたね...」
私の隣で
少しだけ寂しそうに玄関ドアを見つめるアイツ
...そうだ！
「ねぇ、チャンミン
今から約束の水族館に行かない？」
「水族館ですか？」
みるみる明るくなるアイツの顔
「うん(笑)」
「行きたい...行きたいです！(笑)」
「ふふっ(笑)」
よかった
「そうと決まったらすぐ出掛けよ！」
「ふふっ、そうだね(笑)」
「Aさん、早く、早く！」
まるで子供のようにはしゃぐアイツと
もう何度目かわからない約束を果たしに
「お待たせ！行こっか(笑)」
夜の水族館へと向かった
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作者名：ami
| 作成日時：2013年8月7日 12時
