あやの話 ページ19
幸せな気持ちで出勤した私
「話したい事があるんだけど...」
休憩中、唐突にあやにそう言われ
今夜は一人だし
「じゃあ、御飯食べに行かない？」
この間のお礼も兼ねてあやを食事に誘った
今日はお客さんも少なく
二人とも定時で仕事を上がった
「久しぶりだね、ここ」
訪れたのは入社当時よく二人で来たお店
「そうだね〜
慣れない仕事の愚痴を二人でよく零したよね」
注文したお酒で乾杯をして
「ところで話したい事って何？」
早速、あやの話を聞く事にした
「うん...あのさ」
いつもはっきり物を言うあやが
珍しく言葉に詰まっている
「うん」
「今Aの家にいとこが同居してるって言ってたけど...シムとは上手くいってるの？」
てっきりあや自身の話だと思っていた私は
思いもよらない言葉に一瞬戸惑った
「実は...幸哉が来てから色々あって...。
でももう仲直りしたんだけどね、でも何で？
あっ、もしかして昨日、チャンミン仕事中様子が変だった？仲直りしたのは今朝だったから」
「仲直りって事は喧嘩でもしたの？」
「うん...まぁ、そんなとこかな(笑)」
お互いの下らない嫉妬が原因なんて
恥ずかしくて言えない
「そっか...」
あやが手にしてるお酒に視線を落とした
「何？どうしたの？」
あやの様子にイヤな予感がした
「私なら隠さず教えて欲しいから言うけど」
そう口にするなり
あやが勢いよく顔を上げた
「実は昨日、仕事の帰りに見ちゃったんだ」
見たって
「...何を？」
聞くのが怖い
「シムが...」
アイツが...？
「女の人と腕を組んで歩いてるの」
え...
一瞬、あやの言葉に耳を疑った
「女の人と...？」
「うん...昨日仕事が終わって友達を駅前で待ってる時に、人混みの中を女の人と笑顔で話しながら歩くシムを見かけたんだ...。
一瞬だったけどシムに間違いないと思う」
そんな...アイツが？
信じられない話だと疑いながらも
ドクドクドクドク...
心臓がうるさい程音を立てていた
昨日は隼人と飲みに行ってたんだよね？
隼人と会う前に...一緒にいたって事？
「今日のシムは相変わらずAにデレデレだったし、シムの事だから何か理由があるんだと思うけど...夫婦にとって大事な事だし、帰ったらシムと話してみて？」
「・・・・」
「A...？」
呆然とする私の顔を
心配そうに覗き込むあやの顔が見えて
「そうだね...ありがとう」
何とかそう返した
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作者名：ami
| 作成日時：2013年8月7日 12時
