9 F ページ10
「俺、今日は藤ヶ谷のとなりー！」
俺の座ってた席の横にガチャンっとトレーを置く赤ずきん。
いつもは俺が不自然にならないくらいに距離を取って様子を伺って、たまに目が合う赤ずきんは怯えたような顔をするのに。
「みっちゃん、太輔の隣だなんて珍しいね」
そう渉が言えば赤ずきんは俺の腕にぎゅっと抱きついてきた。
「だって俺たち仲良しだもーん」
「…え」
何が起きたのか分からない俺はフリーズするしかなかった。
「なんか言えよ」赤ずきんの目はそう俺に訴えてきた。
「あ…えっと、そ、そう！俺らラブラブだからさ！」
咄嗟に出てきた言葉に赤ずきんは満足そうに笑って俺の腕にさらに抱きついてくるし、ニカと千賀に関しては「ラブラブゥ！」って茶化してくる。
渉は微笑ましそうに笑ってるし。
せっかく情が移らないように距離を置いていたのに。
「俺ね、藤ヶ谷ともっと仲良くなりたいんだ」
無邪気な顔でそう伝えてくる赤ずきんは何も知らない。俺が腹の中で何を思っているのかなんて。
「俺も北山と仲良くなりたいって思ってた」
お前を殺そうとしてるなんて。
それから、 どんどん赤ずきんと過ごす時間は増えていった。
2人で講義受けるなんてことも最近では多い。
「〜で、あるからして…」
キーンとマイクの音を響かせながらぼそぼそと喋る教授の話を半分聞きながら眠気で瞼はどんどん落ちてくる。
「ふじがやぁ」
「んー？」
「この後授業取ってる？」
「取ってないけど」
「今日バイトある？」
「ないよ」
ほぼ目を瞑った状態で赤ずきんからの問いに淡々と答えると、嬉しそうに俺の体を揺さぶってくる。
「この後さ、映画行こうよ！」
「……え？」
いきなりのことでびっくりして目を開いてみれば、目の前に赤ずきんの顔があった。
少し興奮気味に目をキラキラさせて、コレ見たいんだよねとスマホの画面を見せてきた。
もう、距離を取って様子を伺うのはやめた。
これからは近くで虎視眈々と機会を作ることにする。
所詮は 殺す対象。
情なんてものはない。相手が俺に油断しきってしまったらこっちのもんだ。
「藤ヶ谷と映画行くの、すっげー楽しみ！」
もっと俺に隙を見せればいい。
もっと俺の前で無防備になればいい。
その時にに苦しくないよう一瞬で息の根を止めてあげるから。
ニヤけそうになる顔を抑えて、今日もまた優しそうな笑顔を貼り付ける。
「俺も、北山と映画行くのすごく楽しみだよ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 169人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やや子(プロフ) - またまた読み返してました。藤ヶ谷さん、みっくんをどうしていくんでしょうか…。みっくんに嫉妬とかしてほしいです！楽しみです。 (2021年9月15日 20時) (
レス) id: 21deb2a54a (このIDを非表示/違反報告)
ぽんた(プロフ) - やや子さん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！！出会っちゃいました！！この後2人がどう変化していくか、是非見守ってやってください！ (2021年8月1日 23時) (レス) id: 9c3dc41c13 (このIDを非表示/違反報告)
やや子(プロフ) - ぽんた様！度々すみません！みっくんの登場に胸が高鳴りました！ですが…出会ってしまったのですね…。この先が本当に本当に楽しみです。 (2021年7月24日 19時) (レス) id: 21deb2a54a (このIDを非表示/違反報告)
ぽんた(プロフ) - やや子さん» やや子さんコメントありがとうございます！表現力無さすぎマンなのでめちゃくちゃ嬉しいです……！！コメントたくさんいただけて本当に励みになってます！のんびり更新にはなると思いますが最後まで読んでいただけたら嬉しいです！ (2021年7月23日 23時) (レス) id: 9c3dc41c13 (このIDを非表示/違反報告)
やや子(プロフ) - ぽんた様、本当に銀座カラーの狼藤ヶ谷くんに小説で会えるなんて夢みたいです！しかもその物語にはみっくんが登場なんて！ぽんた様の藤北小説愛は胸に響くものがあり、表現もとても大好きです！続きをゆっくりと心待ちにしております。 (2021年7月22日 22時) (レス) id: 21deb2a54a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽんた | 作成日時：2021年7月22日 0時
