地雷女子ymdちゃんと兄ヤンキーymdくん (ページ8)

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side りょうすけページ8

涼子が泣いて出て行ったのに、相変わらず俺を追いかけ回す長身イケメン。

「もうお前しつこいっ」

「お兄さん！僕は決してやましい気持ちではっ」

「わかった、わかったから！大体お前は今日うちの親に挨拶しに来たんだろ？
お前がおかしくなったせいで涼子も泣きながら逃げちゃったし…
全部お前のせいだかんなっ」
いい加減イライラしてきた俺が言い放ったその言葉に、今までボンヤリとコーヒー片手に笑点を見ていた親父のグラサンがキラッと光る。

「何？涼子を鳴かせた？？」

「親父、その漢字はやめろ」

「すまん、つい」

「よくもまぁ自分の娘の話題で下ネタ言えるよなぁ」

「もう、お父さんったら」
いつも無表情な母さんがパチンと親父のパンチパーマをどつく。柄にも無く照れる親父。
なんだこの茶番。
親父と母さんの下らないやり取りに「うぜぇぇえ」と顔を顰めると
それまで黙っていたナカジマユウトが俺の手を取って真剣な顔をして口を開いた。

「お兄さん、そんな汚い言葉を涼ちゃんと同じ顔で言わないで下さい」

「はぁ？また何を言い出すかと思えば」

「大体さっきから口が悪すぎます。そんな美しいお顔に相応しくない」

「は？今俺はマ〇キーなんだよ。ていうかお前も今ヤンキーだろ」
ちゃんと設定守れよ、俳優だろ？とまるでグループ内でのライバルかのように煽ると、
ようやく我に返ったのか設定を思い出したのか( ﾟдﾟ)ﾊｯ!とするナカジマユウト。

「そうだった…じゃなくて、気を取り直して」
急に親父と母さんの前に行き、先程のおかしな様子はまるでなかったかのように丁寧なお辞儀をしながら挨拶した。

「涼子さんのお父さん、お母さん。僕は涼子さんとお付き合いをさせて頂いてる中島と申します。先程は我を忘れて取り乱してしまい、挨拶が遅れて申し訳ありませんでした」
中島は憎たらしいほどの見事な長い脚を折り曲げて、なんと、親父の赤いEnglishTシャツがインされた
ダサいズボンの足元で土下座を始めるではないか。

どうでもいいが親父、なんだその格好。
中島の目の前には親父のこれまたダサい黄緑色の靴下が鎮座している。
中島は親父の変な服装にも惑わされず、屈辱的な土下座スタイルを辞めない。
すごい精神力だ。

なんだこいつ、こういうときのプライドは無いんだな…

俺は内心びっくりしていた。

イケメンで俺より長身、何もかも持っていそうな完璧なイケメンは、涼子の為ならプライドさえもかなぐり捨てる男気のある奴だった事に。