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自宅に着いて、車から降りると裕翔くんとお兄ちゃんが待っていた。
会いたいとは思っていたものの、こんなすぐ会えるとは思わなくてちょっとビックリしてる。
わざわざ来てくれたんだ。
でもなんでお兄といるの?
私はまた昨日を思い出してちょっとイライラしてしまった。
車から降りてきたパパと私を見てペコっとお辞儀する裕翔くん。
「おっ、裕翔くんじゃないの。こんばんは
」
「こんばんは。夜分にすみません。あの…夕ご飯が終わってからでいいので、少し涼子ちゃんとお話させて下さいませんか?」
パパに頭を下げる裕翔くん。
それを見てしたり顔で私にウィンクするパパ。
いや、いいから。
「いーよ〜。あ、ならうちでご飯でも食べてく?」
パパ!うちら一応喧嘩してんのよ。
パパの空気の読めなさっぷりは何話経とうが変わらない。
そんな私の表情を見て察したのか、
「いえ!そんな急にお邪魔する訳には。夕ご飯終わるまで公園で時間潰してますから」
裕翔くんはそれだけ言うとサッと一礼して公園に走ってっちゃった。
家に入って、ママが思わず心配で嘔吐くほどの速さで夕ご飯を食べた私は
なんでさっき一緒に居たのかお兄に詰め寄った。
「何でって。アイツがうちの前でノープラン単身でしょぼくれてたからだよ。お前に会いたい一心で来たんだってさ。良かったな」
夕食の唐揚げを食べながら言う兄。
なんでか分からないけど、その表情は清々しく見える。
そう、なんだ。てっきりお兄に会いに来たのかと思っちゃった。
私のこと気にしてくれてたんだって、ちょっと嬉しい。
そんな私の頭をポン、と撫でたお兄。
「大丈夫。お前が心配するような事は何も無いよ」
「お兄ちゃん、ごめんね」
下を向いて謝る私の頭をヨシヨシと撫でるお兄。
「やめて〜髪型が崩れちゃう〜」
「涼子はそんな事しなくても可愛いのに」
まるでペットにするみたいにワサワサと撫でくりまわすお兄を振り解いて、慌てて自室に上がる。
「え、涼子!中島待たせたままでいいのか?」
「髪型とメイク直してから!」
お兄の呆れた声が聞こえたけど、これだけは譲れない。
裕翔くんに見せる姿はいつでもちゃんとしていたいの。
30秒で支度して、高速で出ていこうとする私に、お父さんの呑気な声が聞こえた。
「涼子〜、お手柔らかにな〜〜」
お父さん。何気にめちゃくちゃ裕翔くん好きなんじゃん。
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作者名:AKA | 作成日時:2021年11月21日 9時