第85話 長官の指令 ページ43
｢ーーごめんなさい。｣
カリファさんが私に頭を下げる。私は戸惑っていた。
私があたふたしているとカリファさんが泣きそうな顔で言う。
｢…私が部屋をあけたばっかりに…！ルッチがそんなに手が早いなんて…！｣
そう。私はあったことを伝える時に、スケッチブックに書いたものを見せながらルッチとの会話を追って伝えていたのだが、私が濁して言っても鋭いカリファさんはしつこく聞いてくるため、口付けの事も言わざるを得なかったのだ。
カリファさんに流れで丸々話してしまった。
ーーくぅ、私にもっと語彙力、会話力があれば上手いこと言いまわせた…いや、書きまわせただろうに…。
私が自身の文章力に呆れている間もカリファさんは落ち込んでいた。
｢部屋にいるから安心ではないって分かっていたはずなのに…。｣
なるほど。だから私が部屋にいるから大丈夫と伝えた時に冷めた顔をされたのか。
ーーそれならそうとはっきり言ってくれれば…。
なんて思ったけれど、ルッチからは逃げられなそうだなとも思った。何より私はルッチを避けない。
【まぁまぁ。落ち着いて。】
そう書いて見せたが逆効果。カリファさんに、何故あなたが落ち着いてるの！？と言われてしまった。
私はカリファさんに伝えているうちに泣き止み、落ち着きを取り戻していた。
ルッチは自身の事を怖いか、と聞いた。そんな言葉を聞いて涙が出ないわけなかった。
彼は一体どんな過去を背負っているのだろう。私に疎まれるのを嫌った彼は、どれほどの人達に疎まれて来たというのだろう。
私は彼のことで頭がいっぱいだった。
ーーあれ、私…。
何か胸につっかえていたものがとれそうな気がした時、病室の電伝虫がなった。
｢…はい。｣
カリファさんが受話器をとる。
《カリファか？わしじゃ。カクじゃ。》
｢えぇ。｣
《今ら一仕事終えたところじゃ。Aの退院いつになりそうかのう？》
先程カリファさんと話をしていた時に先生がやってきて伝えてくれた。
身体には異常がないので、問題がなければ明日の朝退院だと。
そうカリファさんがカクに伝えると、カクは少し困ったように言った。
《そうか！そりゃあ、よかったんじゃが…、今しがた長官から連絡があってのぅ…。クマドリが今受け持っている任務先でちと問題を起こしたらしい。それでな…。》
カクは一呼吸したあとに言った。
《ーーAを帰還させて、クマドリの救出に向かわせろ、とのことじゃ。至急な。》
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 323人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アタル(プロフ) - サクラさん» サクラさん、ありがとうございます！コメントで感想を送ってくださると本当にやる気が出ます。自分で始めたので頑張るというのもなんか変な感じですが、頑張ります！ (2019年10月12日 17時) (
レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - カクもルッチもカッコいい…！毎回キュンキュンさせてもらってます！更新頑張ってください！ (2019年10月12日 16時) (レス) id: 2be65d96af (このIDを非表示/違反報告)
アタル(プロフ) - akane10746さん» 前回からコメントありがうございます！続けてみてくださっていてとても嬉しいです！頑張ります。 (2019年10月8日 13時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
akane10746(プロフ) - 毎回面白いです!更新頑張ってください！！！ (2019年10月8日 9時) (レス) id: 38a8873821 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アタル | 作成日時：2019年10月7日 0時
