第75話 頭に響く声 ページ33
｢ここなら安全じゃな。｣
私とカクはW7の上へ上へ向かい、造船島の避難場所に着いた。
町中の人達が一晩この施設で過ごすらしく、大勢の人達が集まっていた。
｢A！カク！｣
大勢の人をかき分けて名前を呼んだのはカリファさんだった。その後ろからブルーノさんも顔を見せた。
『カリファさん！ブルーノさんも。』
私とカクが2人に駆け寄る。しかしある人の姿がないことに気づいた。カクも気づいたようで、カリファさん達に尋ねる。
｢…ルッチの姿が見当たらんようじゃが？｣
｢それが…。｣
カリファさんは神妙な顔つきになり話す。
｢ハットリが戻ってこないらしくて…。私たちは止めたんだけど、あの人聞かずに…。｣
｢なんじゃと…。｣
たしかハットリはルッチの肩に乗っていたあの鳩のことだ。ルッチはハットリが心配で飛び出したというのか。
ーーあの冷血な人が…？
彼の彼らしくない行動に私は胸が傷んだ。私は彼という人を誤解していたようだ。
｢はぁ…。あいつのことじゃ。心配はいらんじゃろう。わしたちはここで待機…。｣
カクが指示を出す。しかし私はその場にはもう居なかった。
｢…Aがいないようだが…。｣
｢｢なにぃ！！？？｣｣
ブルーノに続きカクやカリファがその場にAがいないことを知った頃、既に私は、人混みに紛れその場を飛び出していた。
頭の中に聞こえる声を頼りに、雨の中街を走る。
ーー声が聞こえる…。でもハットリはルッチといないと話せないはず…。ルッチ？
私は遠くから助けを求める声の方へ向かって走った。
声の方へ近づくと、どうやら泣き声のような声が聞こえてきた。
ーー子ども！？
高潮が海の向こうに見えてきた。そんな状況で子どもが一人街で泣いている。
『ボク！どうしたの…？』
私は急いでその子どもの元へ駆け寄る。
｢ぐすっ…。お姉ちゃん…！ママはどこなのぉ…。｣
どうやら親とはぐれたであろう男の子を見ると、大事そうに何かを抱えていた。
『…！ハットリ！』
ハットリはぐったりとした様子で男の子の腕に抱えられていた。
｢おねえちゃん、この子怪我してるの…。助けようとしたら、僕も…。｣
男の子は足をくじいたらしく腫れていた。
『…ありがとう、この子、私の友達なの。一緒に逃げよう？ほらっ。』
私はハットリを抱えた男の子を背中に担ぎ走った。
大きな波が迫ってくる恐怖を打ち消すように『大丈夫、大丈夫…。』と、その子と自分に言い聞かせながら。
第76話 見つけたのは（ルッチside）→←第74話 避難警報の街
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アタル(プロフ) - サクラさん» サクラさん、ありがとうございます！コメントで感想を送ってくださると本当にやる気が出ます。自分で始めたので頑張るというのもなんか変な感じですが、頑張ります！ (2019年10月12日 17時) (
レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - カクもルッチもカッコいい…！毎回キュンキュンさせてもらってます！更新頑張ってください！ (2019年10月12日 16時) (レス) id: 2be65d96af (このIDを非表示/違反報告)
アタル(プロフ) - akane10746さん» 前回からコメントありがうございます！続けてみてくださっていてとても嬉しいです！頑張ります。 (2019年10月8日 13時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
akane10746(プロフ) - 毎回面白いです!更新頑張ってください！！！ (2019年10月8日 9時) (レス) id: 38a8873821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アタル | 作成日時：2019年10月7日 0時
