第63話 酒が抜ける前に ページ21
｢…おい、あんた大丈夫か？｣
私の顔を覗き込むようにして聞かれる。
｢…そういえばあんた、名前は？｣
ーー今更だが…。とアイスバーグさんは言った。
『…Aです…。すみません。ここら辺で大じょーぶれす…。』
クラクラする頭を抑えながら彼の手を離れようとする。
｢…ンマー…A…さっきも言ったが放っておけない。宿まで送ろう。どの宿かわかるか？｣
アイスバーグさんは私の腰に手を回し、離そうとはしなかった。
仕方なく宿まで来てもらう。
『…ん、ここです。ここからはもう大丈夫ぅ…。』
そう言って今度こそアイスバーグさんの腕から離れようとしたが、またしても彼は離そうとしない。
そんな彼を不思議に思い、重たい頭を上げ顔を見あげてみれば、アイスバーグさんの顔からは、少しもの寂しさを感じた。
心配になり彼の頬に手を伸ばそうとするが、その彼の手に掴まれ阻止される。
｢…優しくするな…。止められなくなる。｣
『…。』
何を言っているか分からず見つめることしかできなかった私に、アイスバーグさんは1枚の紙を渡した。
名刺だ。その裏にはここ何日かの日付と時間が書いてあった。
｢…ンマー…俺の空いてる時間だ。もしまた会えるならこの時間、あの店で…。｣
そう言った彼はじゃあなと一言言って去っていった。
そんな後ろ姿を見ながら私も宿に戻る。
ここで忘れていけないのは、今日の朝ルッチに夜部屋にこいと言われていた事だ。
このままルッチの部屋に行こうか、少しお酒が抜けるのを待った方がいいのか、そんなことをルッチの部屋の前まで来て迷っていると、いきなりドアが開いてカクが出てきた。
『カクぅ？』
｢！A、帰ったのか……お前、まさか。｣
私の顔を見てすぐに何かを察したカクは、ルッチの部屋のドアをすぐ閉め、私を部屋から遠ざけた。
｢A…、また飲んだな？あれだけ飲むなと言っておろうに…！｣
私の肩を掴んで真剣に話すカクを見て、助けてくれたことや服のことを思い出す。
『カクぅ…、ありがとね…。あの時助けてくれて…！じゃなきゃ私…。』
｢…！｣
カクはその瞬間私を抱き寄せた。私が泣きそうなのに気づいたのだろうか。
視界がぼやける中、カクの後ろに人影が見えた。
｢…取り込み中悪いがさっさとその女をよこせ。｣
そこには真顔で機嫌の悪そうなルッチがいた。
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アタル(プロフ) - サクラさん» サクラさん、ありがとうございます！コメントで感想を送ってくださると本当にやる気が出ます。自分で始めたので頑張るというのもなんか変な感じですが、頑張ります！ (2019年10月12日 17時) (
レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - カクもルッチもカッコいい…！毎回キュンキュンさせてもらってます！更新頑張ってください！ (2019年10月12日 16時) (レス) id: 2be65d96af (このIDを非表示/違反報告)
アタル(プロフ) - akane10746さん» 前回からコメントありがうございます！続けてみてくださっていてとても嬉しいです！頑張ります。 (2019年10月8日 13時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
akane10746(プロフ) - 毎回面白いです!更新頑張ってください！！！ (2019年10月8日 9時) (レス) id: 38a8873821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アタル | 作成日時：2019年10月7日 0時
