第54話 必要悪 ページ12
目の前に立つルッチの目は見れなかった。下を見ながらルッチの声を待つ。
｢…弱い事は罪だ。｣
『……。』
冷たい言葉が胸に突き刺さる。しかしルッチは言った。
｢しかし俺はお前に強い何かを感じたのは事実。それに…。｣
『…っ…。』
ルッチは手を伸ばし、私の傷ついた頬をなで、自身の方へ私の視線を向けさせた。
｢…困ったことに、そんなお前でも守ってやろうと思えるくらいには俺も弱っているようだ…。｣
『…うぅ…！！』
そんなことを言われれば涙は止まらなかった。ルッチはそんな私を黙って抱き寄せる。
力強いが安心させられる抱擁だった。
そう思った途端、ガクッとルッチから力が抜ける。
『…！ルッチさん？』
｢…。｣
ルッチは黙ったまま地面に座り込む。私は肩にルッチの腕を回したまま一緒に座り込んだが、このままではいけないと、立ち上がりベッドにルッチを運ぶ。
ベッドにルッチを腰かけさせると、ルッチは荒い呼吸を繰り返しながら倒れ込む。
ルッチを抱えた時に感じたのは高い体温。そして流れる汗。…熱があるんだ。
『待っててください。今、飲み水と濡れタオル持ってきます！』
そう言ってその場を離れようとした時、パシッと腕を掴まれた。
ーーなんかデジャブ…。
掴まれた腕は前回とは違い力が全く入っていなかった。世界が反転することもなかったが、私はベッドに腰掛ける状態になった。
『…ルッチさん？』
｢……………眠ぃ。｣
『…ぅわっ…！』
そう言うと掴んでいた腕を引かれた。横になったと思ったらそのままルッチに腕を回され抱えられた。
『……あの…ルッチさん？』
ーー動けない…。
背中にはルッチの体温。そして耳元にはルッチの熱い息があたる。
そんな状況に戸惑うが、戸惑うだけ無駄な気がした。返事がない。彼はもう既に眠ってしまったようだ。
先程まで部屋で寝ていたはずの私だっだが、ルッチの呼吸を聞いているうちに眠りに落ちた。
持って来たミルクは飲まれることなく、しかし二人は朝まで起きることは無かった。
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アタル(プロフ) - サクラさん» サクラさん、ありがとうございます！コメントで感想を送ってくださると本当にやる気が出ます。自分で始めたので頑張るというのもなんか変な感じですが、頑張ります！ (2019年10月12日 17時) (
レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - カクもルッチもカッコいい…！毎回キュンキュンさせてもらってます！更新頑張ってください！ (2019年10月12日 16時) (レス) id: 2be65d96af (このIDを非表示/違反報告)
アタル(プロフ) - akane10746さん» 前回からコメントありがうございます！続けてみてくださっていてとても嬉しいです！頑張ります。 (2019年10月8日 13時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
akane10746(プロフ) - 毎回面白いです!更新頑張ってください！！！ (2019年10月8日 9時) (レス) id: 38a8873821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アタル | 作成日時：2019年10月7日 0時
