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星44個 ページ44

どんなに自分を責めても、ずっとどこかで待っていたんだと思う。




誰かに自分の行いの理由をわかってもらえる日を。
最後の最後まで、妹のことを考えていたことを知ってもらえる日を。






自分のことはたぶんこれからも許せない。
でも、誰かがそんな自分を認めてくれた。それが心の底から嬉しかった。





じわっと視界が滲む。
あぁ、私は泣いているんだ。だとしたら、これはきっと嬉し涙だ。
泣いていることを自覚すると、涙は留まることを知らず溢れてくる。




私が泣いているのを見て、時透さんは少しだけおろおろしていたけど、隊服の袖のところで涙を拭ってくれた。





「すいません、…ありがとうございます」




五分もすると涙は止まった。まだ少しだけつっかえる声で礼を言うと、彼は「どういたしまして」と当たり前のように返す。




起きてすぐの人を困らせるなんて。しかも、誰かといる時に泣くのは幼い頃以来で気恥しい。



時透さんが迷惑に思ってないといいけど、彼の表情からは感情が上手く読めない。

ほんの少し気まずくて、とりあえず胡蝶さんに時透さんの目が覚めたことを伝えてこようと席を立つ。





泣いた後は目のあたりが腫れて酷い顔になると聞いた。今の自分もそうなっているのだろうか。
そんな疑問を感じながら扉の取手を引こうとした時。





「ねえ、ちょっと待って」





その言葉で、私は体の動きがピタリと止まった。
彼の声は緊張のようなものを含んでいて、なぜだか待っておいた方がいいと思えた。






「……、話があるんだ」




彼の方へ顔を向けると、時透さんの表情がよく見えた。
それは今まで見た中で一二を争うぐらいの真面目な顔だった。




胡蝶さんに頼まれて私は彼の傍にいた。だから、目が覚めたのなら例え倒れた理由が寝不足でも、すぐ報告するべきだろう。





でも、時透さんがそんな顔をしてまで私を呼び止めた理由を知りたいのも確かだった。




結果的に後者が勝ち、私は扉から離れてさっきまで座っていた椅子に座り直した。

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☆カペラ★ - こんばんは、これめっちゃ良い話ですね!ハマりました!!時透君カッコいい!!更新頑張ってください! (2020年1月14日 21時) (レス) id: 04526cdaa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2019年9月7日 23時

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