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星39個 ページ39

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敗色濃厚。





そんな言葉が頭をちらりと掠める。
同時に、私の右腕に勢いのついた枝が掠めた。





鬼と戦い始めてどれほどの時が経っただろう。私は追い詰められていた。





普通の鬼相手だったらこんなにも苦戦しない。
ただ場所が悪かった。
日が差し込まない森の中、おまけに草花を操る血気術らしい。戦闘は続き、攻撃を躱してもきりがない。






鬼は心底愉快そうに、木の上から逃げ惑う様を見物している。頸を斬ろうとしても木々に遮られる。
状況は絶望的だった。





はっと浅く早い息を吐くと、頭上から無数の枝が降り注ぐ。
避けるのは無理だ。
攻撃に向き合い、刀でできる限り弾く。





半分は弾けたが、残りの半分は隊服や皮膚を掠める。
そのうちの一つが、右の脇腹を抉った。
深くはないが、浅くもない。





このまま応戦していたら、失血死してしまう。
捨て身でもいい。なにがあっても、鬼に近づかないと。
私の考えを読んだのか、鬼が初めて口を開いた。






「いい加減諦めなよ。君じゃ僕の頸は斬れない」





退屈そうにため息を吐いて、真っ赤な扇で口元を隠した。





「そもそも、僕の血気術を勘違いしてるでしょ、君。そうやって勘違いをした隊士は皆僕の腹の中に入っていった」





満足そうに自分の腹を撫でる鬼の言葉を聞いて、血が滲みそうなほど強く刀を握りしめる。





___許せない。
仲間を喰われた、そんな状態であの鬼は私に「諦めろ」と言ってきた。





短刀を懐に仕舞い、刀を構える。
私はこの型が苦手だ。でも、この状況をどうにか出来そうな型は他にない。





ぐっと足に力を込めて地面を蹴り、間隔の狭い木々を足場に鬼に近づく。血気術が脚を掠めるが、気にもとめずに跳躍する。





鬼と目線がほぼ変わらなくなった時、身体中にめいっぱい空気を取り込む。かぁっと体が熱くなるのを感じた。





全集中・星の呼吸参の型天の川






頭の中でそう唱えて、刀を振る。
この型は連撃だ。
鬼の頸を力尽きるまで狙う技だから、出し終えたあとは気絶してしまう。




最初の太刀は躱された。その時、鬼がバランスを崩したのを見逃さず、残りを叩き込む。
意識が薄れだした十四回目で鬼の頸に刃が当たる。そのまま力を込めると、頸は宙を舞った。






体がふわりと浮く感覚。落下していることは分かっていたが、体が疲労に耐えきれず、ぷつりと意識が途切れた。

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☆カペラ★ - こんばんは、これめっちゃ良い話ですね!ハマりました!!時透君カッコいい!!更新頑張ってください! (2020年1月14日 21時) (レス) id: 04526cdaa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2019年9月7日 23時

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