星37個 ページ37
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"それでは、行ってきます。"
時透さんの屋敷の前で口を動かすと、時透さんは「気をつけてね」とだけ言って小さく手を振った。
なんやかんや彼のお世話になってから二ヶ月が経った日だった。
甘露寺さんと女子会をしてから何か進展した訳でも無く、名前を付けずらい関係が続いている。
そこに舞い込んできた単独任務だった。
神社にお参りに来た人が次々消えている。
何人か隊士を送ったけど、連絡が途絶えてしまったため私に話が回ってきた。
他にも何か言ってくれればいいのに。
そう思いながら駆け出す。
場所は南西。神社で人が消えている話はあまり広まっておらず、未だに多くの人がお参りに来ているそうだ。
神様に日頃のことを報告に行ったら鬼に喰われる。なんてひどい話だ。
着いたのは寂れた神社だった。
日の光は背の高い木々で遮られている。まだ日は沈んでいないのに、薄暗くて気味が悪い。
鳥居や境内には苔が生えていて、手入れがされていないことが伺える。
それか、管理人さんは既に鬼に食べられてしまったのか。
日の光が差し込まないここでは、昼か夜かなんて関係ない。鬼がいつ出てくるか分からないから、腰の刀に手をかける。
その体勢のまま神社を一周してみるが、特に怪しい所はなかった。
夜まで待って、もう一度来るか。
そう思い階段を下りようとすると、
「た、たすけ、て、助け、て」
そんな声が神社の奥から聞こえてきた。
声のする方へ駆けつけると、神社の更に奥の森から声がしているみたいだ。
刀を抜いて周囲を警戒しながら近づく。
茂みの向こうから声が聞こえるほどに近づいて、かき分けて見るとそこには誰もいなかった。
____罠だ!!
そう思った時にはもう遅かった。
首すじにちくりと針を刺すような痛みを感じる。
後ろを見ると、やけに人っぽい鬼が木の上から私を見下ろしていた。
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☆カペラ★ - こんばんは、これめっちゃ良い話ですね!ハマりました!!時透君カッコいい!!更新頑張ってください! (2020年1月14日 21時) (レス) id: 04526cdaa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2019年9月7日 23時