星が鳴る【時透無一郎】 (ページ35)

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星35個ページ35

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"あの、そろそろ私、迷惑になってませんか？"

朝餉を食べながらそう言うと、時透さんはぽかんとした顔で私を見た。

きっと声は一、二週間で治ると思っていた。でも、今日で一ヶ月経ってしまう。
あんまり長いと彼の負担になってしまうのではないか、という考えが頭に住み着くようになった。

彼が迷惑に思っているなら、荷物をまとめて出ていってしまおう。その準備は昨日のうちに済ませてあった。

あとは、時透さんの返事次第だった。

「……逆に聞くけど、Aは嫌じゃないの？」

次は私がぽかんとする番だった。

"いや、居候させてもらってる身で文句なんて言いませんよ。"

思い浮かんだことを言うと、時透さんは違うと言いたげに首を振った。

「そういう事じゃなくて。恋仲でもない男とひとつ屋根の下に住むこととか、手料理を振る舞うことを嫌に思ってないってことなんだけど。」

不安そうな目で時透さんはお膳の上の食器を見ていた。目は合わない。

恋仲でない男とひとつ屋根の下。
その質問を聞いて、私の頭は混乱した。

好きな殿方の話を甘露寺さんとすることはあっても、恋仲の男女について話すことはなかった。

世間一般的な恋仲の男女のことがわからないから、彼が何をそんなに心配しているのかわからなかった。

"質問の意味がよくわからないけど、私はそのことを別に嫌だと感じたことはないです。
むしろ、作った料理を『美味しい』と言って食べてくれるので、嬉しいですよ。"

とりあえず、思ったことや考えたことをそのまま言うと、時透さんは少し安心したような表情になった。

「そっか、なら良かった。」

その言葉だけを残して、彼は食器を下げはじめる。
私も手を合わせて"ごちそうさま"を言い、食器を下げる。

ふと外を見るとぽかぽかとした陽気に包まれていて、今日は布団も干そうと思う。