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星22個 ページ22

炭治郎視点




「竈門君には、妹がいるの?」




後ろから掛けられた言葉に振り返る。
そこには、Aがいた。





「ああ、いるよ。禰豆子っていって、今は鬼だけど俺の大切な妹だ。」





そう言うと、彼女は目を輝かせた。
少し困ったような素振りを見せて、再び口を開く。




「あの、禰豆子ちゃんと会ってみたいです……」



最後は消え入りそうな声だった。
照れが混じった何かを愛しいと思う気持ち。そんな匂いがしていた。




「もちろんいいぞ!」




Aを禰豆子がいる部屋まで案内する。
カーテンを閉めると、禰豆子は箱の中から出てきた。
初めて会う人に少し緊張しているみたいで、チラチラと俺の方を見てくる。






「ね、禰豆子ちゃん。」




上ずったAの声。
同時に、彼女は手をピンと差し出した。





「良かったら、お友達になってくれませんか?」






禰豆子は驚いたような顔になった。でも、すぐに笑った顔になって、差し出された手を握った。




Aは、今にも泣きそうな表情になって嬉しがっていた。




そこから、二人は一緒に遊び始めた。
一時間にも満たない時間で二人は仲良くなった。
微笑ましい様子を、俺は少し離れたところで見ていた。



真っ赤な糸であやとりをしている時、Aさんは俺の方を見て微笑んだ。






「竈門君も一緒に遊ぼ〜。」




禰豆子も俺の服の裾をぐいぐい引っ張って、遊ぼうと勧めてくる。
胸の奥がぽかぽかと温かくなる感覚に身を任せて、俺は二人と遊ぶことにした。







「いや〜、楽しかったね。」





遊び疲れたのか、眠ってしまった禰豆子をベッドに運びながらAは呟いた。





「竈門君にとっても、妹ってとても可愛く思う?」





「ああ、とびきり可愛く見えるし、命よりも大事にしようと思えるんだ。」






言い切ると、Aは考える素振りを見せて、口を開いた。





「わかった。そんな竈門君のために、先輩が一つ要らない世話を焼こう。」








「妹の頸を斬らなくていいように、ちゃんと見ててあげるんだよ。」





年相応な笑顔と打って変わって大人びた表情。
突然の言葉を、俺は理解できなかった。



「それって、どういう………」




「竈門君、今日はありがとう。」





言葉を遮るようにして、Aは言った。
くるりと前を向いて去っていく彼女の背中を俺はただ見つめることしかできなかった。

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☆カペラ★ - こんばんは、これめっちゃ良い話ですね!ハマりました!!時透君カッコいい!!更新頑張ってください! (2020年1月14日 21時) (レス) id: 04526cdaa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2019年9月7日 23時

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