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星12個 ページ12

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「……そんな訳ないじゃないですか。だって、私はあの子と話して、こうやって手を取って……」




時透さんに身振り手振りをしながら話すけど、一度頭に芽生えた違和感は無くならない。



あの子の手の感触も体温も……



「Aは気づいてなかったかもしれないけど、あの時、夕日で僕たちの影ははっきり見えていたのに、あの子は影自体が無かった。」





背中を嫌な汗が伝う。
そんな訳ない。きっと、影が小さくて見えなかっただけだ。

そう思っても、自分が感じたことを嘘だとも言いきれない。




彼は、追い打ちをかけるように続きを言った。




「この島は何年も前から無人島だった。それでも、ここが有名になったのは、出るって噂が出回ったからなんだよ。」






『元は人口の少ない村』
その説明を聞いたあと、この島に人の気配がないことをおかしいと思った。




子どもが泣いているのに一人として出てこない大人、鬼についてやけに知りすぎている男の子、そして夜になっても明かり一つ灯らない民家。




ここに来てから抱えていた違和感が、一つに繋がっていった。同時にやりきれない感情が湧き出る。






「きっと、嫌だったんだと思います。自分の故郷に鬼が住み着くのが嫌だったから、男の子は教えてくれたんでしょうね。」





今となっては遠くなってしまった山を眺めながら呟く。
時透さんは「たぶんね」とだけ零す。





船に乗ってしばらく経つと、当たり前だけど、島は遠のいていく。
潮風に揺らめき視界を遮る髪。それを耳にかける。




波止場に視線を向けると、男の子が笑って手を振っていた。
驚いて、もう一度見ると姿は無くなっていた。





成仏してしまったのだろうか。出来ているといいな。
私は、小さく手を振り返した。

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☆カペラ★ - こんばんは、これめっちゃ良い話ですね!ハマりました!!時透君カッコいい!!更新頑張ってください! (2020年1月14日 21時) (レス) id: 04526cdaa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2019年9月7日 23時

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