第四話 ページ5
扉の向こうで大きな音が聞こえ、館全体が揺れる。
Aをお姫様抱っこしたまま耳を澄ませて警戒する葉山。
どうやら、鬼は街の方へ帰っていくようだった。
辺りを見渡す。
正面には左右に伸びる階段があり、二階へと続いているようだった。
左手にはグランドピアノが一段高くなった場所に置かれ、その前にはいくつかの椅子が並んでいた。
右手には暖炉のある客間のようなスペースが有った。少し背の低いテーブルを囲むようにソファが置かれていた。
高い天井に吊るされた豪勢なシャンデリアはホコリをかぶり、明かりは薄暗くなっていた。
気づくと彼女は眠っていた。ずっとお姫様抱っこしているのもつらいので、下ろそうと客間に向かった。
横長の大きなソファに下ろすと、自分の羽織っていたものを上にかけた。
この館は妙に肌寒いが、幸いにも冬用のコートを羽織っていた。
一段落つき、どすん、と向かいのソファに腰を下ろすと、大量のホコリが舞う。
鼻にむず痒い感覚を覚え抑えようとしたが間に合わず、大きな声が出てしまった。
Aを起こしてしまったのではないかと思い、おそるおそる見ると、すやすやと眠っている。
透き通った肌に、ぷるんとした唇。筋の通った鼻を際立たせる、ほんのり紅潮したまあるい頬。
起きてしまってはいけない、とソファに戻ったが、Aは起きてしまっていた。
「……あの…ここはどこですか？」
あんなに怖いことがあったのに、と思ったが無理もない。
彼女は途中から気を失って眠っていたのだ。
Aが動けなくなってお姫様抱っこで鬼から逃げたこと、鬼に殺される寸前でこの館に吸い込まれたこと、鬼はどこかへ行ったことを話した。
彼女はホッとしたような笑みを浮かべた。
彼も、思わず頬が緩んだ。
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YUKARI♪ - 毒りんごパイさん» それは良かったです！ (2019年11月27日 22時) (
レス) id: 8e0566877e (このIDを非表示/違反報告)
毒りんごパイ(プロフ) - ありがとうございます…(T_T)更新するモチベーションが無くなっていたのですが、気力が湧いてきました！ (2019年11月24日 20時) (レス) id: 402e3fe0b6 (このIDを非表示/違反報告)
YUKARI♪ - イベントのYUKARI♪です！読みましたがとても面白かったです！評価させて頂きました！ (2019年11月22日 15時) (レス) id: 8da6d1b6ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：毒りんごパイ | 作成日時：2019年11月15日 23時
