太宰さんが一ヶ月だけポートマフィアの幹部に戻るそうです。【番外編────リクエスト募集中】

？？年後の話 ページ19

Aの様子がおかしい。
いや、今日も普段通り愛らしい事に変わりは無いのだが、


何故か挙動不審なのだ。



とてもｿﾜｿﾜしては私の方に視線を向け、目が合った瞬間にそらされる。


こんな事がずっと続いていた。
そんな挙動不審なAも愛らしいが、そろそろ寂しいのでAを確保する。


……この状態のAは話し掛けたら逃げられる可能性があるので、後ろから抱き締め、逃げられない体勢にするのが効果的である。



この状態になって私がAを逃がす気が無いと悟ったのか、諦めて腕の中で大人しくしている。



「……単刀直入に聞こうか。何故そんなに挙動不審なのかな？」


Aは私の問いに少しだけ悩むと意を決したのか、私を真っ直ぐに見つめる。


「あのね、治。」

「なーに？」

「妊娠した。」

「……、えっ」



いきなり告げられた事実は驚きのもので、
胸に言いようのないものが広がっていく。


「……治、産んでもいい？」


少し不安そうに告げられた言葉。


「いいよ。私との子供、産んでくれ。」


だから私はそう答えた。


……昔、ポートマフィアに居た頃は子供が出来ればAは優しいから私を置いていなくならない。


つまり、“鎖”としての役割を持つから、だから早く孕ませたかった。


……それ以外、どっちでも良かった。

…けど、こうして子供が出来たと言われると胸に言いようのない、だが、決して不快ではない感情が広まっていく。



そんな言いようのない気持ちに戸惑っていると、Aは私の顔を見て微かに笑う。


「治、うれしい？」


「さぁ、わかんないや。」


この気持ちが分からなくて、私は曖昧に答えた。
けれどAは“そっか。”と嬉しげに笑い、


「名前、考えないとね。」


と言った。


この気持ちの正体はまだ分からないけれど、
何となく、これからが楽しみだと思った。

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