兄さんの忘れ物を届けに行ったら初対面な名探偵に結婚を申し込まれてしまった。

11話 ページ13

「君達、何してるの？」


ポオさんと小説語りを初めて一時間程経った頃、じとぉ、とした目付きで此方を見ているのは乱歩さん。


「乱歩君、！吾輩、新作を書いてきて、」


「今忙しいの！Aと現場に行くからまた今度！！」


私と同じく小説家らしいポオさんは新作を乱歩さんに見せようとしていたが、一蹴されてしまい、私はそんな予定無かったはずだが現場に行くことになってしまった。


というか手を掴まれて逃げれない。


“行くよ！”という元気のいい声と“そんなぁ〜、”と落ち込んだ声。


正反対だなぁと思いつつ、私は着いていくことしか出来なかったのだ。




・



「あの〜、乱歩さん？私現場に行く約束なんてしてましたっけ？」


「してないけど？」


ズンズンと前を歩く乱歩さんに聞くと当たり前のようにそう返された。


え、してないの？帰っていいかな。



「ダメに決まってるでしょ！Aは僕も一緒に××まで行くの！」


“もう！”と怒る乱歩さんは26歳とは思えないほどなんだから可愛い。


というか当たり前のように心の声読まれた。


……て、ん？ちょっと待って。何か可笑しい言葉が聞こえた。



「……乱歩さん？××が現場ですか？」


「そうだよ。」



……



「今向かってるのは？」


「××。」



嘘でしょ……



「道、正反対です。」



今まで歩いてきた労力返して欲しい。

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