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(⋯⋯もしかして、本気で私が避けてたのが、気に入らなかったの？)
確かに、ろくすっぽ会話もせずに、怯えてばかりだったような気がする。あれだけ時が経ったのに、私は彼の中身を知ろうともしていなかった。いやでも、再会した時は私のことを脅してきて⋯⋯あれ、そうだったっけ。あまりに突然の出来事で、恐怖していたため、記憶がはっきりとしない。
そうやってぐるぐるとかき混ぜられた心に生まれたのは、一欠片の罪悪感だった。
『⋯⋯あの』
少しだけ、勇気を出して口を開いた。周囲に誰もいないことが幸いしてから、乾いた喉から出た上擦った声でも、彼の耳には届いたらしい。じろりと、鋭い視線が私の言葉を待っている。
『⋯⋯私が、避けなかったら、もう、怖いことはしない？』
「⋯⋯は？」
ぱちぱち。まつ毛が瞼の動きに合わせて、上下に揺れる。
「怖いことって⋯⋯何すか、別にそんなこと⋯⋯」
『し、してるよ！ 無理やり引っ張ったり、急に近付いてびっくりさせて⋯⋯今だって、あ、顎！ 離して！』
文章にすらならない要求だったが、唖然としたままのショッピくんは、パッと手を離した。よろけそうになるのを、肩を咄嗟に押さえられてバランスを取る。
「⋯⋯そんな怖かったん？」
『こ、怖かった⋯⋯けど、わかんない。私が、びっくりしすぎたのかな⋯⋯』
「そうやろ、知らんけど」
『う⋯⋯なら、ごめんなさい⋯⋯？』
まだ腑に落ちないまま、おずおずと謝る。すると、ショッピくんはふ、と唇から空気を漏らした。
「ごめんなさいって⋯⋯謝るんか、そこで」
『だっ、だって⋯⋯！ 何だか、私にも分かんないけど、⋯⋯何でだろ⋯⋯』
「知らへんわ！ はは、はぁ⋯⋯ええわ、謝ってもらったことやし、許します」
唇に手を当てたまま、するりと肩に置かれた手が離れていく。
「おーい、イロニー、先生呼んでるぞー！」
少し遠くで、男子生徒の声がした。ショッピくんは顔を上げると、ふわりと黒い翼を広げる。
「じゃ、俺行きますんで」
『あ、うん。そうだ、ショッピくん』
「ん？」
『ランク昇格、おめでとう』
ショッピくんは僅かに笑うと、さっと空中へ浮かび上がった。小さくなっていく影を見送りながら、何となく、心の中の暗い塊が溶けたように感じた。
本当に、何だかよく分からないままだけど。あの日から停滞した私達の関係が、少しでも前進したのは間違いないだろう。
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いらお(プロフ) - お皿さん» ありがとうございます、はてなマークに笑っちゃいました（笑）応援とても嬉しいです、頑張ります！ (2023年3月2日 7時) (
レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - りうっこさん» 返信遅れて申し訳ありません。ありがとうございます、ストライク取れて光栄です！ゆっくりにはなるかと思いますが、更新した際にはぜひチェックしてやってください…！ (2023年3月2日 7時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
お皿(プロフ) - 陰から応援してる者です...もう、本当に大好きです...ありがとうございます（泣）（？）これからも陰ながら応援させていただきます。頑張ってください!! (2023年3月1日 22時) (レス) @page27 id: 5bd738696b (このIDを非表示/違反報告)
りうっこ - ぶっ刺さりました。ドストライクです… 割と久しぶりの感覚かもです！更新めちゃくちゃ楽しみにしてるので、頑張ってください！！ (2023年2月3日 9時) (レス) @page26 id: 182708b139 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - 明日花さん» コメントありがとうございます、すごい嬉しいです！拙い作品ではありますが、明日花さんの性癖に刺さったのでしたら光栄に思います。ゆったり更新してまいりますので、気が向いた時にでもまた本作品を読んでいただければ幸いです！ (2023年1月6日 22時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いらお | 作成日時：2022年12月28日 16時
