4 ページ25
「せや、これも聞きたかったんですよ。何で僕なんか助けたん？ 詐欺師の家系なんて、Aさんみたいな人だったら嫌がりそうやと思いましたけどねぇ。魔力が強いわけでもないし、そういう方面の助けも基本役に立ちませんよ」
『えっ、と⋯⋯別に、何か期待したわけじゃないよ。証明するのは難しいけど、これは本当』
「えぇー、まっさかぁ！ そんな悪魔おりませんって！」
けらけらと、元気な笑い声が響く。何がツボに入ったのかいまいち分からないまま、私ははは、と苦笑を零した。彼の先程の言葉が喉の内側に突っかかって、素直に一緒に笑おうという気にはなれなかった。
『それに、恥ずかしながら私、これまでずっと家の中だけで生活してたようなものだから。世俗に疎いというか、ガオナァって名前にもあまりピンときてないんだ。だから、そもそも嫌悪感？ とかもない、し』
「⋯⋯あぁ、成程。納得いったわ。通りで常識外のお人好しなわけや」
『それは⋯⋯なんか、不服と言いますか』
「いやいやいや、お陰で僕は助かったわけやし！ 感謝しとるのは本当やって！」
『⋯⋯それはどうも』
そう取ってつけたように言われると、少し信用できなくなってしまうような気がするのは何故だろう。疑うような気持ちに蓋をしようと考えていると、不意にチーノくんが身を乗り出した。
「しっかし⋯⋯それはそれで残念やなぁ」
『へ？』
「"僕やから"助けてくれたんやと思っとった。僕の家のこと知らんかっただけなんやな⋯⋯だから、残念」
彼の手が、するりと私の髪を一房撫でた。細長く、男性的なその指は、何かを摘んでいた。
「ゴミ、ついとったで」
さっきよりもずっと近い黄色の瞳が、細長く三日月を描いていた。
『⋯⋯それは、どういう⋯⋯』
「あっ、もう昼休み終わってしまいそうやん！ 僕この後の教室遠いねん、お先に！」
手首の腕時計を見ながら慌てたチーノくんは、急に立ち上がると、素早くトレイを取り上げた。
「じゃ、またお昼一緒に食べましょうね！」
それだけを言い残し、返事をする前に去っていく。私はその背中を見送りながら、しばらくぼうっとしてしまっていた。
ー
ciが哀愁漂わせてるのは9割わざとです。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 266人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いらお(プロフ) - お皿さん» ありがとうございます、はてなマークに笑っちゃいました（笑）応援とても嬉しいです、頑張ります！ (2023年3月2日 7時) (
レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - りうっこさん» 返信遅れて申し訳ありません。ありがとうございます、ストライク取れて光栄です！ゆっくりにはなるかと思いますが、更新した際にはぜひチェックしてやってください…！ (2023年3月2日 7時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
お皿(プロフ) - 陰から応援してる者です...もう、本当に大好きです...ありがとうございます（泣）（？）これからも陰ながら応援させていただきます。頑張ってください!! (2023年3月1日 22時) (レス) @page27 id: 5bd738696b (このIDを非表示/違反報告)
りうっこ - ぶっ刺さりました。ドストライクです… 割と久しぶりの感覚かもです！更新めちゃくちゃ楽しみにしてるので、頑張ってください！！ (2023年2月3日 9時) (レス) @page26 id: 182708b139 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - 明日花さん» コメントありがとうございます、すごい嬉しいです！拙い作品ではありますが、明日花さんの性癖に刺さったのでしたら光栄に思います。ゆったり更新してまいりますので、気が向いた時にでもまた本作品を読んでいただければ幸いです！ (2023年1月6日 22時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いらお | 作成日時：2022年12月28日 16時
