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グラウンド42回目 ページ42

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時々フェイントをかけながら、永瀬からボールを取られないよう転がす。
ここ数年、試合はフットサルしかしてないが、家や公園でサッカーボールを蹴ることはあったので感覚はそこまで衰えてないはずだ。



それでも、ボールの大きさに少し戸惑う。
靴だってローファーだ。せめてグラウンドシューズに履き替えれば良かった。




しかし永瀬は、そんなレベルの私からもボールを奪えない。









「……っあ、くっそ!!!」


「ああああ、もう!」






『永瀬、あと少し!!!』


「おまえ、、けっこう上手いやん…っ!」


『おまえじゃない!』


「お前やって、なんで名前で呼ばんねん…っ」


『はぁ!?なに、がっ』


「俺、下の名前で、呼べ言うたやろ!!」






あれだけ今まで練習しといて尚、1on1をしながら会話するなんて、すごい体力だ。
お互いに息が切れる。






『…………なんか無理!!!』



「はぁ!?いみ、わからん!!」






そう言われた瞬間、永瀬にボールを取られた。







肩で息を整えながら彼を見ると、真剣な表情で私を見ていてドキッとする。









「もう一回」









そう言って私にボールを蹴ると同時に走ってくる。









『はぁ…、はぁっ、ほら永瀬、こっちだよ』



「あーくそ、っ!!」



『ねえ!
わたしさ、あの日、先生から言われたの!』



「はぁ?なにが!?」



『わたしが、先生のこと好きなのっ、、
先生、ずっと、知ってたんだって…っ!!』





また永瀬にボールを取られる。

肺が潰れそうだ…
永瀬も肩が大きく上下している。








「………タチ、悪」



『そんなこと、言わないで。
それを知れたお陰で、ちゃんと、好きでしたって、言えたの…!』



「良かったやん…」





興味ないといった雰囲気を出しながら、投げやりに言うその声は優しくて、やはり根は真っ直ぐで良いやつだな〜と思う。









『永瀬が、あの日付き合ってくれたから
ちゃんと言えたし、ちゃんと終わらせれたし
ちゃんと吹っ切れた。
本当に本当に感謝してるよ。





だから今日はとことん付き合うから』






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作者名:ぱぴこ | 作成日時:2019年5月30日 22時

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