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「え…」
こっちを見るその人。
「あ、すみません。えーと、ないてる…だから、だいじょうぶ、かなと」
「あ、すいません。びっくりさせちゃいましたね」
近くにあったベンチに座る俺たち。彼女はそう言い、鼻を啜り頬に流れた涙を手のひらで拭く。そして何か探しているのか左腕にかけていたカバンの中を漁り始めた。
「あ、そっか。今日ハンカチ忘れたんだっけ」
「はんかち…」
ちょっと早くて聞き取れなかったけど"ハンカチ"と言っていたのがわかった。
「そう、ハンカチ。拭くもの」
「あ、これどうぞ」
「タオル…？」
自分の首にかけていたそれ。
「えーと、(なんて言えばいいんだ？)これ、きれいです」
お風呂に入る前に走って汗をかこうと思い首にかけていたタオル。今日はそんな気分になれず結局コンビニを選んでしまったけど。
「使っていいんですか？」
「はい」
「じゃあお言葉に甘えて」
その人は遠慮しながらトントンと軽く目元を拭いた。
「これ、メイクちょっとついたけど大丈夫ですか？あれだったらクリーニングに出してからお渡ししますけど」
「(メイク、くりーに…？だして…？)」
自分が困っているのに気付いたのか、
「もしかして外国の方ですか？」
と聞いてきた。
「あー、かんこくからきました」
「韓国…そうなんですね。日本語、上手ですね」
「にほんごは、むじゅかしいです」
「むじゅかしい…ふふ。難しいんですね」
"難しい"の発音で笑われたのがわかり少し恥ずかしくて下を向いてしまった。
「日本語本当に上手です」
また同じ事を言う彼女。顔を上げれば真剣に俺の目を見ているもんだから馬鹿にされているわけではないんだろうなと感じた
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作者名：minmin | 作成日時：2020年2月1日 18時
