Myosotis scorpioides【A3!】 (ページ9)

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なな㌻ページ9

「私、幼い頃に両親を...あの、無差別殺人で亡くしているんです。それからは残された姉と共に、母方の祖母の所にお世話になっていました。けど、中学生の頃にその二人も一気に亡くしてしまって...それからは孤児院で暮らしていました」

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ゆっくりと呼吸を整えながら話す、唇が震えて上手く声が出せない。

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だけれど、立花さんは黙って私の次の言葉を待っていてくれた。

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「私は他の子達より大きくなってから入ったので上手く馴染めなかったのもあります。だけど、私がそこで暮らしていくのをよく思っていない子が何人もいました。それから毎日大人の見ていない所でよく嫌がらせを受けるようになって_____...」

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今までされて来たことの数々が頭の中に浮かび、悔しくて拳を握りしめて俯く。

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「_____我慢、しようって思ったんです。我慢しなきゃ、しなきゃ、って思うたび苦しくなりました。だけどある日、姉から貰ったブローチが部屋からなく無くなっていて...」

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『あれ...ブローチ、いつもここにいれてるのに、どこ行っちゃったんだろ』

『えーー！ブローチって、いつもAちゃんの机の中に入ってるやつ？』

『う、うん...秋奈ちゃん、なんか知ってたりする？』

『あんまりにもだっさくて汚いし、見てられないから捨てちゃったよ』

『...え...？』

『うんうん、もう凄く汚れてたから代わりに捨てといてあげたんだよ？感謝してよね！！』

『嘘...あれお姉ちゃんから貰った大切なブローチで_____！』

『...えっ、そんなに大切だった？ごめんねぇ、でもAちゃんにはもっとお似合いのがあるよ！』

『あははっ、言えてる！ま、捨てちゃったのは仕方ないし。あ、私の分の宿題もよろしくねー』

『ちょ、ちょっと待っ_____』

＊＊＊

「_____凄く、凄く悔しかった。それから毎日色んな所を探し回ったんですが、結局見つかりませんでした。だけど、逃げたくなくて、負けたくなくて、それからも毎日悪口を言われながらもそこで暮らしていたんですが...流石に嫌になっちゃって...勢いで飛び出して来てしまったんです」

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拳を握りしめて、唇を噛み締めながら話し終わる。

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すると、握っていた拳の上にふわりと温かい何かが触れた。