さんじゅうきゅう�� ページ41
「ありがとう咲也くん、真澄くん」
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あの後、私の怪我を気遣ってか2人は荷物を分担して全て持ってくれた。
少し申し訳なかったけれど、あまりの真剣な眼差しに相槌を打つことしか出来なかった。
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寮に着いて、2人にもう一度お礼を言うと咲也くんはいつもの笑顔で笑ってくれ、真澄くんは無愛想にだけれど頷いてくれた。
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「ッ...」
寮に帰ってきて安心したのか、腕の針の刺すような痛みがまた襲ってくる。
痛みに顔を歪めた私に気づいた咲也くんが、慌てて「手当しないと」と私の手を引いた。
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そのまま、談話室で咲也くんが手当をしてくれる。消毒をしてくれてその上から優しく絆創膏を貼ってくれた。
自分でやるよと言ったけど「いいから」と黙らされてしまった。
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「ありがとう、何から何まで」
「いいよ！仲間なんだから当然だよ」
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申し訳なさでいっぱいになり、少し俯いて言うけれど咲也くんは屈託無い笑顔で笑う。
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「仲間」
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その言葉が嬉しくて、強張っていた頬を少し緩めると今まで黙って手当を見ていた真澄くんが口を開いた。
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「...で、彼奴らは何だったの」
「___え、」
いきなり彼の口から溢れた発言に、言葉が詰まる。
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彼奴ら、ってあの2人組しかありえない。
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何もかも分かっているような真澄くんの切れ長の瞳と目が合う。
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真澄くんは私の言葉を待っているのか、ずっと私の瞳を見つめている。
...言ってしまいたい。
そう思うけれど、何かが邪魔をして私の口からその言葉が紡がれることはなかった。
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「ここに来る前、仲良くしてた友達だよ？」
ただ作り笑いで嘘をつくことしか出来ない。そんな自分が嫌だった。
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すると真澄くんはスッと目を細めると、そっぽを向いた。
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「__少なくとも、俺にはそう思えないけど」
「ちょ、ちょっと真澄くん！何言って____」
真澄くんは低い声で呟くと、不機嫌そうな足音で部屋を出て行った。
隣で咲也くんが「ごめんね」なんて謝るけど、私は何も考えられなかった。
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...ただ、何もかも真澄くんには見透かされている気がして。
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私は彼の出て行った部屋のドアを呆然と見つめることしか出来なかった。
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作者名：オムライス.? | 作成日時：2017年2月26日 20時
