Myosotis scorpioides【A3!】 (ページ23)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:682,617 hit

にじゅういち㌻ページ23

「Aちゃんにも、この人たちの演技を見てほしいの。それで何でもいいから感想をくれる？」

「...えっ？でも、私でいいんですか？演技の事なんて何も分からない素人ですけど____」

.

いきなり任された大役に、少し口元が引きつる。

.

だけど、いづみさんは優しく笑って

「そう言う、素人目線っていうのも時には大切なんだよ？演技経験がない素人の人にでも、引き込まれるような演技を出来る人が必要だしね」

.

「緊張し過ぎないで！大丈夫だよ」とまた頭をなでられる。

.

.

__素人目線___...。

.

.

はじめは少し不安だったけれど、その言葉で緊張が一気に解けたような気がした。

そうだよね、私の正直な感想を言えばいいんだ。

.

「分かりました...！」

.

私は拳を握りしめ、心の中で意気込みながらいづみさんの隣に並んだ。

.

.

.

.

.

.

.

「それじゃあ、今からオーディションを始めるね。まずは名前と演劇経験を一人ずつ言ってくれるかな」

いづみさんの掛け声で、集まった4人がステージの上に上がる。

.

.

なんか、ドキドキしてきた。

.

高鳴る鼓動を抑え、持ってきていたメモ帳とペンを取り出し握りしめる。

なんかの為に全員の事をメモっておこう、もしかしたら役に立つかもしれない。

.

.

そうして、オーディションが始まった。

＊＊＊

「瑠璃川幸、中3。演劇経験はなし」

.

瑠璃川幸さん、っと...。まだ中学生だしスカウト枠とはいえオーディションになればピンク色の髪の人みたいに少しおどおどしてしまうものなのに、堂々としてる。

あまり緊張をしない人なのかな、そういう所も演劇する上では必要だよね...。？

.

一応使えるかは分からないけど、思ったことをメモにとる。

.

.

.

「オレより年下かよ」

「だから？」

「礼儀がなってねぇ」

「はああ？」

私がメモを取っている最中にも、皇天馬が幸さんの邪魔をする。

.

礼儀がなってねぇ、ってキミもいづみさんに対してタメ口だし...。

.

.

先輩に対して敬語を使うことは当たり前と教えられてきた私は、少し胸にモヤモヤが残った。

.

.

.

やっぱり、性格悪そうだな...皇天馬。