Feather (ページ41)

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独り言ページ41

田中くんとミケちゃんに会いに行くのは今日が初めてじゃない。
なのにこんなにも緊張するのは、これがデートというものになっているから。
いつも通る道も眩しく見えるし、隣を歩く田中くんの歩幅も普段よりもゆっくりな気がする。
誰かの隣を歩くのも、誰かを好きになるのも、今が初めてじゃないはずなのに、目に見えるもの全てが特別に見えてしまうのは、私が田中くんを好きだからなんだろうなって。

冷静に考えているうちに、気づけば着いていたいつもの空き地。

「俺ね、Aちゃんにはダサいところ見せたくなかった」

いつも土管の中にいるミケちゃんが、珍しく土管の上でちょこんと座っているのが見えた時、田中くんの声が隣からした。
その声の音色はどこか寂しげで、少し悲しげで。
何も言えないまま田中くんを見ていると、田中くんはミケちゃんの顎を撫でながら話を続ける。

「Aちゃんの中の俺のイメージっていうやつ？そういうの壊したくなかったんだよね。ちょっとビビってた、ダサいところを見られたくなくて。でも昨日めちゃくちゃそういうの見せちゃったから幻滅しちゃってないかなって」
「そんなの思ったことないよ？」
「…本当に？」
「本当に。田中くんのことは、一度だってそんな風に思ったことない。いつだって田中くんはかっこいいって思ってる」
「……ありがと」

ちょっと照れてるみたいに含み笑いを浮かべる田中くんがなんだか可愛い。なんて、こんなこと言ったら拗ねちゃうかな。

「…今から言うのはただの独り言だと思って」

何かを察したのか、田中くんに撫でられてゴロゴロと気持ちよさそうに鳴いていたミケちゃんがぴょんと地面に降りる。
「自由だなー」って田中くんが苦笑いをすると、ミケちゃんは小さくニャアと鳴いた。