Feather (ページ33)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:107,142 hit

。ページ33

それにしても今のチャイムは何時限目を告げたんだろう。
初めて授業をサボってしまったけれど、不思議と心は軽かった。

「ん、」

さて、これからどうしよう。
そう考えをめぐらせていたら、ゆっくりと瞼を開き、何回か瞬きをした京本くんが顔を上げて私を見る。

「おはよ」
「…おは、よ」
「ふふ、やっぱりオウムだ。起こすって言ったのに寝ちゃってごめんね。Aちゃん見てたら眠たくなっちゃってさ」

そう言って微笑む京本くんは絵画のように綺麗で、私は慌てて視線を逸らす。

「ううん…。あの、ブランケットありがとう」
「ん？ああ、うん。どういたしまして」
「これもここにあったの？」
「違うよ、これは俺が持ってきたの。雨の日みたいに肌寒い日もあるから、これがあればあったかくして寝れるでしょ」
「…ここには何でもあるんだね」
「俺の秘密基地だもん」

得意げな顔をする京本くんは、本当に無邪気な子どもみたいで見ていてとても可愛らしい。
みんなは京本くんのことを王子さまみたいだって言うけれど、私から見た京本くんはどちらかと言えば天使みたいだ。
不思議で、可愛らしくて、悪戯っ子みたいに無邪気に笑って、それでいて優しいから。

「もう下校時間だね」
「えっ、もう！？」
「だってほら」

携帯に視線を落とした京本くんは、私に向けて携帯の画面を見せてくれる。
時刻は15時半を過ぎていて、想像以上に寝てしまっていたことが分かる。
5時限どころか6時限目も眠ってしまっていたなんて…。
そうは思うけれどどうしようという不安はない。
むしろ、だいぶ落ち着けた気がしている。
心も考え方も、全て。