Player~気がついたら能力者でした~

4 ページ6

＊

「＿では、この問題を隣の人と話し合ってください」
1限、理科。
担当の大江(おおえ)先生は、クラスメイトとの交流を大事にしているらしく、隣の人と話し合って答えを出すことが多い。隣の人が嫌なわけではないのだが＿
「うわ、高須だったら交流サボれないし。」
チッ、と言う隣の生徒。茶髪で前髪が長い男子、梶原 琳(かじわら りん)。授業態度も悪く、不良生徒として学年では有名だ。そして＿私と琳は小学校の頃に会ったことがあるのだ。琳の父は転勤族らしく、わずか2年で転校してしまったのだけど。でも…小学校の頃の琳は、ここまで不良ではなかった。そもそも不良ではなかった。
(琳を、【Player化】する……？)
ふと私にそんな案が出てきたのだ。Player化は出来るだけ2人きりの場所で行いたい。零も2人の空間で行なっている。もし、Player化する際に人がいたら騒ぎになるかもしれない。琳とはある程度仲がいいため、2人きりでいても違和感はないだろう。
＿決定。琳を Player化します。

理科の授業が終わり、10分の休み時間だ。
「あのさ、琳」
「何だよ美紅」
文章に直すとかなりシンプルだが、結構真剣である。

「今日、一緒に帰ってくんない？」
琳はなーんだ、と気を緩めると、「いいぞ」と言った。

Playerを知らず、 Player化されることも知らずに。

5→←3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す