〔ワートリ〕三輪の従兄弟は､一般人(仮)な薄幸少年１６

『言うなればトリオン怪物』その２ ページ3

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賢の頭に垂直な手刀がきまり、怒鳴られながら揺さぶられて賢が情けない声をあげる｡

流石に可哀想に思えてきて、俺は仲裁に入ることにした｡


[あの〜…鬼怒田開発室長さん、とりあえず落ち着いて話だけでも聞い]

鬼怒田｢泡渡っ…!? なぜ貴様がここにいる!?｣

[ぁ、ぇ、えーと…実は今日付けで、無事に退院させて頂きまして……;;]

鬼怒田｢なんだと…!? そんな話、聞いとらんぞ!!｣

[Σひぃ…!!;;]


どうやら攻撃対象が賢から俺に変わったようだ｡

凄い勢いで睨まれた…;;


[し、忍田本部長には…先程、申し上げに行ったんですが……
他の皆さんは席を外されていたようだったので、後でもう一度伺おうかと…;;]

鬼怒田｢言い訳をするな馬鹿者!!
まず先に上層部である我々の前に顔を出すのが礼儀だろうが…!!｣

[Σすっ、すみません…;;]

鬼怒田｢…フンッ……。
…それで、 近界民にやられた傷はもう治ったのか?｣

[へ……｡ ぁ…はいっ;; 普通に動けるくらいには、よくなりました…]

鬼怒田｢……まったく…、余計な心配かけおって…｣

[……]


………鬼怒田さんって、会う度にいつも何かしら怒鳴られるし、怖いけど…｡

根は案外いい人なんじゃ…


鬼怒田｢大体トリガーを起動する前に壊され、あろうことか瀕死の重症を負うなんてマヌケにも程がある!!
それでもＢ級隊員か!!｣

[うぐっ……せ…正論すぎて、返す言葉もございません…;;]


いや、やっぱり怖いや…;;



―――……というか、話がだいぶ逸れてる気がしているのは俺だけかな…?;;



雨取｢ぁ、あの…っ、すみません!!
私が壁を壊しました…!!｣

[Σえ、雨取ちゃん…!?;;]


鬼怒田開発室長さんから叱責を受けつつ、この状況にどう収拾をつけようか考えていたら、雨取ちゃんが間に割って入ってきた｡


鬼怒田｢…何……? 東くん、本当かね!?｣

東｢それは事実です。彼女がアイビスで開けました。
玉狛支部の雨取隊員です｣

鬼怒田｢なんだと……!? 玉狛の…!?｣


鬼怒田開発室長さんが眉を潜め、申し訳なさそうに項垂れる雨取ちゃんを見た｡


こ、これは……まずい…っ;;


怒りの矛先が雨取ちゃんに向くのだけは阻止しなくては、と。

そう考えたのも束の間。


そんな心配は必要なかったのだということを、俺はすぐに思い知らされた。


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