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不作の理由は足りない勇気 _fkr ページ1

※高校生パロ注意


芽生えた気持ちに、見て見ぬふり。

見ないうちに育った気持ちはむくむくと勝手に成長し続ける。

気付いたら、間引き。

それでもゆるやかに生き延びた想いは、儚く萎んで、枯れて、散っていった。



普段通りの昼休み、友達が言った。

「福良くん気になっててさ」

好きだと口にするつもりも、勇気も、わたしにはなかった。本人に伝えるのはもちろん、いちばん仲の良い友人にだって言ったことは無いし、自分の中でもこの気持ちは抱かない方がいいんだって、薄々気付いてた。

だから、この気持ちは認めずに潰すつもりだった。


「え、ほんと!?」
「めっちゃお似合いだと思う!」
「応援する!!」

わたしも、みんなと同じように。

「__ちゃんなら大丈夫!」

応援するほかなかった。まあ、わざわざこの場でわたしも好きだとか持ち出すなんて修羅場待ったナシの行動、とれるわけないし。とったところで、勝敗は決まりきっているわけだし。

「ありがとう、頑張るね」

……彼を見て幸せそうに笑う彼女を、心の底から、可愛いと思ってしまったし。



福良くんとは、去年も同じクラスだった。一度だけ隣の席になってちょっといい感じになったりしたのも、わたしにとっては温度の高い思い出だった。

授業中にわからない部分を教え合うのも、忘れた物の貸し借りも、昼休みに話すのも、すごくすごく楽しかった。周りに茶化されたりもして、当時は本当に自覚してなかった気持ちを、周りに教えてもらったんだ。

「Aちゃん、福良くんといい感じだよね」
「え!?いやいや、そんなことないよ」

でもわたしは素直にも可愛くもなれなくて。席が変わって学年が変わって、わたし達を噂する人もいなくなったし、福良くんと話す回数もぐっと減った。

それは当然の事だった。当然で憎い事実だった。



球技大会で彼とバドミントンのペアを組もうと頑張る彼女。

休み時間にわざわざ彼の席に行って勉強を教えてもらう彼女。


せっかく訪れたチャンスをみすみす逃すわたし。

いまになっても素直になれず後悔を重ねるわたし。


どう考えたって、彼女の方が幸せになるべきだ。そんなの、わたしがいちばんわかってる。周りなんて、わたしのことなんか引き合いにも出さない。


バドミントンのペアで楽しそうとか、教えてもらってて嬉しそうとか、周りの噂の声は大きくなっていく。外堀はどんどん埋まっていってる。


ああ、そろそろ付き合うんだろうなあ。

それと、足りないぜんぶ→



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作品ジャンル:恋愛
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作者名:ぶっく。 | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年12月29日 21時

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