ダイゴさんの姉の話【pkmn】 (ページ6)

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激しいバトルが続いた。
まさに、一進一退の攻防戦。
一体倒せば、負けじと一体倒し返す。
気づけばお互いに最後の一体となっていた。

「頼むよ、メタグロス!!」

『お願いね、エルレイド!!!』

最後の一体、互いの相棒がフィールドに姿を現す。
どちらのポケモンにもメガストーンが輝く、そして両者共にキーストーンを手に取った。

泣いても笑っても最後の一体。
ここで勝負が決まる……と、その時。
張り詰めたフィールドに似つかないほど軽い音が響いた。

「……え？」

『あ』

何かと思えば着信音。
ポケットに入っていたスマホを取り出す。
そういえば電源を切るのを忘れていた。
それでもこのタイミングで電話がかかってくるなど……ほんと、ある意味ナイスタイミングとしか言いようがない。

「バトルの時はマナーモードか電源を切るかするべきじゃないのかい…？」

『あはは、ごめん』

軽い調子で謝りながら応答のボタンを押し、スマホを耳に当てた。
それにはダイゴもため息をこぼさずにはいられない。
謝りながらも電話には出るのかと、今はバトルの最中……それも佳境だというのに。

『もしもし。はい、どうもお久しぶりです。
………え、ウソっ、本当!?
すぐに行きます、すぐに！はい、お願いします！』

どこか高揚した彼女の表情。
心なしか、バトルをしていた時よりも楽しそう。
今、自分とのバトル以上に楽しいことなどあるのかと……少しばかり悔しくなった。

『と、いうことだから！』
「は」

彼女の相棒であるエルレイドは、やれやれと言った様子で彼女の元に戻って行く。
長い付き合いだ、彼女の思惑など全てお見通しなのだろう。

そして、エルレイドをボールに戻したかと思えば荷物を持って来た道を逆戻り……
逆戻り!?ダイゴは思わず引き止めた。

「まだ勝負の途中じゃないか!?」

『ダイゴの勝ちでいいよ！おめでとうチャンピオン！』

何と気持ちのこもっていないおめでとうだろうか。
じゃあ行ってきます！と大きく手を振った彼女は、本当にバトルを放棄していなくなってしまった。

ダイゴもその相棒のメタグロスも、この場で唯一の第三者である審判も呆然と立ち尽くすしかない。

「……あの自由人は、！」

やっとの思いで声を絞り出す。
が、画面越しにその様子を見ていた四天王は思う。
………お前も大概だと。