ダイゴさんの姉の話【pkmn】 (ページ23)

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冷えたプラスチックのカップから、水滴が伝う。
さされたストローをクルクルと回しながら、Aはルチアの到着をコンテスト会場前のカフェ、そこのテラス席で待っていた。

相変わらずホウエンは暖かい。
差し込む太陽の光を浴びながら思う。
まぁ、以前いたアローラはもっと暑かったのだが。
複数の島で構成されているアローラ地方はまさに南国、雪の降る場所なんかも存在はするがとにかく暑い。

またアローラにも行きたいな。
なんて考えながら、飲み物を口に運んだ。

「Aお姉さ〜ん！」

『あ、ルチアちゃん』

大きく手を振りながら、私服姿のルチアがAの方へと駆けてくる。その様子に、小さく手を振り返した。

ルチアは店内で飲み物と甘味を注文すると、それらをトレーに乗せてテラス席へと戻ってきた。

「Aお姉さん、それ何？」

『コーヒー』

「うわぁ！大人だ〜……」

『そういうルチアちゃんは？』

「ミルクティー！」

元気いっぱい、まさにアイドルといった笑顔で言い放つ。
らしいな、とAは笑った。
衣装から私服に着替え、サングラスをしていてもそのアイドルオーラは隠しきれていない。

「そういえばAお姉さんはいつホウエンに戻って来たの？私、叔父さまに聞くまで全然知らなくて」

『ついこの間だよ。
色々あってルネジムには顔出したから…』

「ダイゴさん怒らせちゃったんでしょう？」

うぐっ、と思わず顔を顰める。
ミクリは自分の姪に何てことを喋ってるんだ。

こちらが悪いのは明確で弁解の言葉もないが、そんなに話を広めなくても……Aは不機嫌そうな表情を浮かべたまま、またコーヒーを口に運んだ。

「その後のバトルも結局引き分けって聞いたわ！
ホウエン地方のチャンピオンと互角に戦うAお姉さん！
なんてワンダフル！憎らしいほどエレガント！だけどとっても……」

『グローリアス？』

正解！と笑うルチアを前にAも笑う。
以前にもこのセリフを聞いたことがある。
その時にはミクリも一緒にいたような……これはルチアの、というより二人の決め台詞のようなものなのだろうか。

息ピッタリに言われたことが印象的で、興味のないことはすぐに忘れてしまうAもそれは覚えていた。

『でも、みんな元気そうでよかった』

「そう思うなら連絡くらいしてくれればよかったのに」

「あー…まぁ、色々忙しくて？
研究とかに集中してたらどうしても……」

言い訳のような言葉が紡がれる。
じとりとルチアに見つめられれば何だか後ろめたさが募り、Aは思わず目を逸らした。