ダイゴさんの姉の話【pkmn】 (ページ15)

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今まで一番喋っていた人物がいなくなったことにより少しの沈黙が流れるが、すぐにダイゴが口を開いた。

「……で、どうなの？」

「どう…とは？」

わかってるくせに。
とぼけた様子の親友を前にダイゴは苦笑いを溢す。
その言葉通り、ダイゴの言いたいことなどわかってはいたが……気付かぬふりをするのが最善だと思った。
余計な事を口走りたくはない。

「自由奔放であんな性格だけど、ボクにとっては大切な姉貴であることに変わりはないからね。
……少なからず、幸せになってほしいとは思っているんだ」

「……ダイゴ」

「ん？」

「お前はかなり、お姉ちゃんっ子だな」

「……は？」

目をパチパチと瞬かせるダイゴを前に、ミクリは思わず笑いを堪える。
いつも愚痴を溢すわりには、ちゃんとたった一人の姉のことを考えているんじゃないか。

「お姉ちゃんっ子というか……姉貴が自由奔放すぎるから、ボクの方が心配になってしまうんだよ」

「まぁそれは、分からなくもないな」

目を離せばふらりと消えている彼女のことだ。
その行動力が良いところであるとは思いつつも、心配の絶えない弟の気持ちが分からないわけでもない。

なんせ、数年連絡もないまま他の地方に行っていたとなれば心配するなという方が無理な話なのだ。

「だから手綱を握ってくれる相手が出来ればいいな、なんてボクは思うんだけど」

「……何だい、その目は」

「ボクの知る限り、手綱を握れるのはたった一人かなって」

にこりと浮かぶ笑顔に、思わず顔を顰める。
そもそも、何度彼女に振り回されたことか。
彼女の手綱を握れる人物など存在しないのではないかとすら思ってしまう。