ダイゴさんの姉の話【pkmn】 (ページ13)

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『う〜……結局、決着つかないなんて』

「そんな膨れっ面しても仕方ないじゃないか」

ルネシティのとあるバー。
お酒を片手に三人は先程のバトルを振り返る。

Aの言葉通り、勝負は引き分けに終わった。
つまり、最後のダブルバトルでも両者のポケモンが同時に戦闘不能となったのだ。
ここまでくると、事前に打ち合わせをしていたのではないかと疑いたくもなるが、この膨れっ面を見る限りそれはあり得ないだろう。

『でもダイゴも強くなったよね。
リーグでバトルした時から思ってたけど』

「それを言うなら姉貴だって。
ここ数年連絡なかったけど、今までどこにいたの？」

『うーん、ほとんどアローラにいたかな。
この前はカロスにも行ったけど』

あぁ、あのバトルを放棄した時ね。
なんて言われてしまえば謝るしかなく、しばらくはこのネタで揶揄われそうだと目を逸らした。

「しばらくはホウエンにいるのかい？」

『とりあえずはそのつもり。
家でゆっくりしながらこれまでの研究をまとめたり、あとはポケモンたちも休ませてあげたいし』

「ミナモの？」

『もちろん』

Aの家はミナモシティにある。
ダイゴの家がトクサネシティにあるようにAも一人暮らし(他の地方にいることが多いのでほぼ留守だが)をしており、ホウエンにいる時はそこにいる事が多い。

「たまには実家に帰ったら？
オヤジも待ってると思うし」

『……冗談、実家に帰ったらよく分からない会食やらパーティーやらに付き合わされるのがオチじゃん。
そんなの絶っ対嫌』

「姉貴がいない間、それをやらされ続けたボクの身にもなってほしいものだよ……」

Aが顔を顰めれば、ダイゴもまた顔を顰める。

さすがは大企業の令嬢と御曹司といったところか。
幼い頃は両親と共に会食やらパーティーやらに参加したりもした。
しかし、今となってはそれも面倒臭いだけ。
そんなことをする暇があるならまだ見ぬポケモンを探しに行きたい、未知なる石を探しに行きたい二人なのだ。

「あんまり、親御さんを困らせるものじゃないよ」

『そうは言うけどさ、この前アローラにいる時にお父さんから電話かかってきたんだけど……もう"結婚"って単語が聞こえてきた時点で切ったよね』

「ふっ……」

勢いよくお酒を飲み干せば、勢いよくグラスを置く。
Aは基本的にお酒に強いが、それでもこのペースは心配になってしまう。
……しかし、どうせ自分の家に帰る気はないのだろう。
いつものことだ。