46. ページ46
よく、眠れなかった。
「眠い……」
そんな独り言を零しながら、
のそのそとベッドから起き上がる。
熱は、もう平熱まで下がっていた。
…
昨日、はやちゃんは私の頬に触れて。
そのあとの行動なんて読めるはずもなく、固まれば。
『続きは、また今度』
なんて言って、ふにゃり笑って。
『お大事ね。色々気を付けて』
…なんて言って、帰ってしまった。
色々気をつけて。なんて。
それははやちゃん自身を指してるのか、それとも。
なんてぐるぐる頭を巡る。
おまけにずっと眠っていたからか、目は覚めきっていて。
……迎えた今日、歩きながら寝そう。
『おはよ。』
「…ひぃ」
『挨拶の返し方、おかしくない?笑』
駅から会社へと向かう信号待ち、
後ろから急に声を掛けられて。
すっと私の隣に並んだ大輝に、1歩後ずさる。
『…熱、大丈夫なの?』
「あ、うん、おかげさまで」
『良かったね。』
少しだけ口角を上げた大輝の横顔。
ふいに思い出した、あの残業の日の夜のこと。
『…何?』
その視線に気づいたのか、大輝が不思議そうな顔。
「何でもない。…あ、昨日電話途中で切れちゃってごめんね」
『別にいーよ。元気そうでなにより。』
信号が青に変わって。
私と大輝は横断歩道を渡る。
『俺コンビニ寄るから、』
「…うん、じゃあね」
軽く手を振って、コンビニ前で別れたけど。
感じた違和感は、気のせい?
それとも、私が残業の夜を意識してるせい?
なんだか素っ気なく感じる大輝の後ろ姿をぼーっと見て、
私はビルへ向かった。
319人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あかり(プロフ) - 。さん» はじめまして!そう言っていただけて嬉しいです!励みになります。これからも最後までお付き合いください◎ (2017年10月25日 8時) (レス) id: 7a52df4d5b (このIDを非表示/違反報告)
。 - すごく凄く面白くて表現がとても綺麗で読んでいてきゅんって、できるような作品でとても好きです。 (2017年10月25日 0時) (レス) id: ff129d1410 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あかり | 作成日時:2017年9月24日 0時