〇 ページ33
程よくお酒も回って日も落ちて。
お酒は弱いと言いながらも話に火がついてグビクビビールを呑んでいたはじめさんが、ついに机に突っ伏して寝始めたので、
「…帰るか」
隣に座っているエイジは言った。
私もほんのりと酔っていて、目の前のエイジが少しぼやけて見える。
「酔ってんね、A」
「うん、少し」
「…お酒呑んでんのは見ても、酔っ払ってんの初めて見た」
「んーそう？笑」
「うん」
「今日は話盛り上がっちゃったからなあ笑」
「そーだね」
「…エイジは酔っ払ってないの？」
「俺、お酒強いから」
「そっか」
気持ち良い私と裏腹に、エイジはいつも通り覚めた様子。
…でも、頬杖をついていない方の手で、私の髪の毛をすくう。
その仕草に、サラッとこぼれ落ちた私の髪の毛に、少しドキッとする。
はじめさんの寝息が響く。
「おじさーん。はじめくん寝てるから。頼むね」
お会計を済ませてくれたエイジの帰り際の一言に、おじさんは顔をしかめる。
「これ置いてくの？困るよ俺」
「俺Aと帰るから頼みます」
「はーあ。そうやって先輩置き去りにしていいと思ってんの〜？さぞかし熱い夜を過ごすんでしょうねぇ」
おじさんの一言に、私の火照っている身体は更に熱くなる。
隣のエイジを見ると、心做しか耳が少し赤いような気がして、可愛い。なんて思ってしまった。
結局、はじめさんを本当におじさんに託してお店を出た私達は、タクシーで私の家に向かう。
ガチャンと部屋の扉が閉まった時。
…あー。1ヵ月ぶり。この背中。
なんて、赤い髪をサラサラと揺らして前を歩くエイジの後ろ姿を見て。その赤髪が私の部屋に溶け込む様子を見て。
エイジが私の家にいることが、また、夢心地のように思えた。
二人きりはやっぱり慣れないな。なんて思ってエイジを見ていたら、
自分の家のようにエイジはソファに座って隣をトントンと叩くものだから、座れと言われているような気がして、隣に腰を下ろした。
「…会いたかった」
突然、エイジがそう小さな声で言って、私の首元に顔を埋める。
二人きりになったら瞬間コレだ。
なんてずるい人なんだろう。
「なんか可愛い笑」
「馬鹿にすんな」
そう言ったエイジは、子供っぽい態度にそぐわないような大人なキスをしてくる。
幸せがどっと溢れ出して止まらない。
＿＿私も会いたかったよ。
塞がれた口で言える訳もなく、めいいっぱい愛情表現をしてくれる彼にひたすら応えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 845人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「YouTuber」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
02番(プロフ) - Almaさん» ありがとうございます！嬉しいです！ (2019年4月1日 21時) (
レス) id: 23e627fa3b (このIDを非表示/違反報告)
Alma(プロフ) - めっちゃ良いです！！大好きです！！ (2019年3月31日 11時) (レス) id: 1946b84f54 (このIDを非表示/違反報告)
02番(プロフ) - こうめさん» 光栄過ぎます……ありがとうございます！頑張ります！ (2019年3月29日 8時) (レス) id: 71e1527443 (このIDを非表示/違反報告)
こうめ(プロフ) - 私、このお話すごい好きです、、今読んでいる中で一番です（ ; ; ）更新楽しみにしています。頑張ってください！！ (2019年3月28日 4時) (レス) id: b5712753e7 (このIDを非表示/違反報告)
02番(プロフ) - Le mont saint michelさん» ありがとうございます！楽しみにしていてください！ (2019年3月27日 18時) (レス) id: 71e1527443 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：02番 | 作成日時：2019年3月9日 17時
