5匹目 Do Not Disturb ページ6
「何? これ」
委員長は私が渡したプレートを手にとって首をかしげた。
白地に「Do Not Disturb」と青い文字。
『起こさないでって意味です』
「それはわかるけど」
ムッとした様子で答える。
この人勉強してるイメージないけど英語はふつうにわかるんだ…。
『だって昨日……』
✧
『失礼します』
コンコンと優しくノックしてから応接室の扉を開いた。
ヒュンッ
すかさず、手のひらサイズの本が顔面めがけて飛んでくる。
ゴンッ
そして私のおでこにクリーンヒット!
『な、なんで……』
私はおでこを押さえて投げた張本人を見た。
彼はソファーに横向きに座って頬杖をついている。
「近くにあったから」
『そっかそっか、近くにハサミとか置いてなくて良かった〜……じゃなくて!
どうして私がこんなもの投げられなきゃならないんですか!?』
私の渾身のノリつっこみにつまらなそうにあくびをして、
「僕が寝てるときに入ってこないで」
と言い放つ。
どうやらこの人は昼寝していたみたいだけど。
『はぁ!?』
そんなの知るかー!!
と言いかけて、いつも死にかけているのを思い出してのみこんだ。
『じゃあ、考えてきますね。 委員長が起きなくて済む方法』
仕方ないなあ。 と息を吐いてソファーを見る。
『って、もう寝てるし!』
✧
『というわけです』
「ふーん」
委員長はプレートを興味深そうに眺めながらも、私の話はどうでもよさそうに相槌を打った。
『昼寝するときはドアノブにかけてくださいね』
「……まあ、覚えてたらやってあげるよ」
この人絶対やらないな。
まあいっか、どうせ私の自己満足だし。
と思っていたら。
一瞬私に視線を移してすぐに後ろを向いてしまった委員長の
口元が少し上がって見えて
私はそれだけで、少しだけ、少しだけだけど、報われたような気分になってしまった。
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作者名:波紋セラーノ | 作成日時:2020年5月25日 14時