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5匹目  Do Not Disturb ページ6

「何? これ」


委員長は私が渡したプレートを手にとって首をかしげた。

白地に「Do Not Disturb」と青い文字。



『起こさないでって意味です』


「それはわかるけど」


ムッとした様子で答える。



この人勉強してるイメージないけど英語はふつうにわかるんだ…。



『だって昨日……』







『失礼します』


コンコンと優しくノックしてから応接室の扉を開いた。



ヒュンッ

すかさず、手のひらサイズの本が顔面めがけて飛んでくる。



ゴンッ

そして私のおでこにクリーンヒット!



『な、なんで……』


私はおでこを押さえて投げた張本人を見た。

彼はソファーに横向きに座って頬杖をついている。



「近くにあったから」



『そっかそっか、近くにハサミとか置いてなくて良かった〜……じゃなくて!

どうして私がこんなもの投げられなきゃならないんですか!?』



私の渾身のノリつっこみにつまらなそうにあくびをして、



「僕が寝てるときに入ってこないで」



と言い放つ。


どうやらこの人は昼寝していたみたいだけど。



『はぁ!?』



そんなの知るかー!!

と言いかけて、いつも死にかけているのを思い出してのみこんだ。



『じゃあ、考えてきますね。 委員長が起きなくて済む方法』



仕方ないなあ。 と息を吐いてソファーを見る。



『って、もう寝てるし!』







『というわけです』



「ふーん」


委員長はプレートを興味深そうに眺めながらも、私の話はどうでもよさそうに相槌を打った。



『昼寝するときはドアノブにかけてくださいね』



「……まあ、覚えてたらやってあげるよ」



この人絶対やらないな。


まあいっか、どうせ私の自己満足だし。


と思っていたら。



一瞬私に視線を移してすぐに後ろを向いてしまった委員長の

口元が少し上がって見えて

私はそれだけで、少しだけ、少しだけだけど、報われたような気分になってしまった。

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作者名:波紋セラーノ | 作成日時:2020年5月25日 14時

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