風紀委員長のわんこですが (ページ28)

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27匹目　入院① ページ28

朝廊下

ぴちゃん、ぴちゃん

窓は雨に濡れている。

ドシャブリドシャブリ

頭上で高い声が聞こえたかと思うと、肩と頬にぬくい感覚。

いつも委員長の近くにいる小鳥だ。

草壁さんは"ヒバード"とか呼んでたっけ。

『ヒバードはいいなあ、いつも委員長の肩に乗れて』

資料を片手で持ち替えて、空いた指で頭を撫でてみたりする。

「君も乗れば？」

！！？？？！？

少し後ろで声がする。

……何言ってんだこの人？

『えっと……委員長の肩……に………？』

振り返ってみるとびしょ濡れの委員長がいた。

頬や口の横に傷を作り、手からは血と雨の混ざった液体がしたたっている。

この人がどこで何をしていたのか、すぐにわかった。

「草壁の肩にだよ」

とうの委員長は、平然とそう答えて私の横を通り過ぎ、

バタンッ

応接室に入って行った。

廊下に残る薄い血痕がやけに目につく。

『委員長！！』

気づくと応接室の扉を開けていた。

視線を少し下げると、ソファでうずくまる委員長がいた。

ドサッ

持っていた紙の束を床に落として駆け寄る。

濡れたシャツ越しに腕に触れてみた。

『あつっ…』

どうしよう、どうしよう、

バアンッ

「桜井！！どうした！？」

勢いよく扉が開き、冷や汗をかいた草壁さんが入ってきた。

「……！」

しかし一度瞬きをしただけで冷静さを取り戻す。

「救急車…はダメだな。俺が病院へ連れて行こう」

「いらない。……自分で歩ける」

近づいた草壁さんをぐいっと押し

委員長はふらつきながら廊下へ出た。

「桜井、このことは誰にも言う必要はない。自分の仕事に戻ってくれ」

草壁さんは簡潔にそう伝えて、委員長を追った。