風紀委員長のわんこですが (ページ24)

今日:7 hit、昨日:43 hit、合計:35,632 hit

23匹目　ディーノ先生④ ページ24

プールに張られた水を吸い、カメはみるみる巨大化していく。

どすん

どすん

「草壁」

名前を呼ばれた草壁さんは、準備はできています、というふうに学ランの内側からリモコンらしきものを取り出した。

ぽち

真ん中の赤いスイッチを押す。

ウィーン

校舎が真っ二つに割れ、地下からロボットが出てきた。

見上げるほど大きなボディは紫に塗装され、黄色い鳥が肩アーマーとしてついている。

なにこれ？

「……………」

委員長は睨みつけていたディーノさんから目を逸らして

シュンッとロボットに搭乗する。

「行くよ」

ダッダッダッ

鉄の塊はカメのもとまで走ると、

ガゴッ

一発拳を入れた。

激しい一撃に巨体はよろめく。

ザバァーン

どしんっ

しかし、すぐに立ち直ってしまった。

やはり大量の水を吸ったヤツは大きすぎる。

……というか、……

「エンツィオのやつ、まだ大きくなる気か！？」

ディーノさんの額を汗が流れる。違和感は正しかったようだ。

プールに残った水によって、エンツィオは巨大化し続けていた。

これ大丈夫なのかな…屋上にいる皆に緊張が走る。

ババババババ

突然プロペラのまわる音がして、委員長ロボの肩に乗っていた鳥が飛び立つ。

運転してるのは――

『草壁さん！？』

ブオッ

グワンッ

襲いかかる腕を巧みな操縦でかわしながらヘリコプターは甲羅の背後にまわり込んだ。

「プロペラの風力でエンツィオ周辺の水を撥ね除け、さらに甲羅を乾かして小さくしてるんだな！」

ディーノさんが言った。なんかよくわからないけどすごい。

「委員長！今です！」

「僕に命令するな」

ガンッ

ドガッ

バシュンッッ

苛立った様子で右、左とカメを殴り、後ろ回し蹴りを決める。

ぴょんっ

勝負がつくか――

と思ったら、ロボットの頭に人影が現れた。

委員長だ。

シュパバッ

自分自身の手で最後の一撃を打ち込んだ委員長は

ドッカーン！！！

肩にかけた学ランを爆風で揺らしながら、片ひざを曲げて着地した。

「エンツィオ～～！？？」

エンツィオ、爆発によって水が蒸発し、小さくなってディーノさんのもとへ戻る。