風紀委員長のわんこですが (ページ19)

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18匹目　祝① ページ19

校庭の少しへこんで影になっているところに

人の目を避けるようにしてむさい男たちがひしめきあう。

祝日の早朝にもかかわらず並盛中学校には多くの風紀委員が集まっていた。

しかし、ただひとり、長の姿は見えない。

「集まったな」

草壁さんがさっと見回してから言った。

その険しい表情に緊張が高まっていく。

何が始まるんだろう…

どんな用件なのか、まったくわからなかった。

風紀委員の猛者たちも半分くらいは私と同じ顔をしている。

「皆、明日は何の日か知っているな」

声を張りながら、しかし静かに言った。

「そう………」

目を閉じて息を吸い込む。

そして…

……開眼！

「委員長のお誕生日だ！」

そうなの！！？

「我々は当然お祝いしたい。

しかし……誕生日会などしようものならば………わかるだろう……」

あああ………

私の脳裏を凄惨な光景がよぎった。

「そこで、今年はプレゼントをお渡しすることにした。

今日集まってもらったのは他でもない

"委員長へのお誕生日プレゼントを何にするか" 皆の意見が聞きたいのだ」

プレゼント…！

リボンのついた大きな箱を両手で抱える委員長を想像してみる。

うん、たしかに良いかも

「どうだ桜井、何か案はないか？」

『へっ！！？』

草壁さんが私を指名すると、たくさんのリーゼントがバッとこちらを向いた。

「我々が渡したのだと気づかれないほどささやかな、だが委員長に喜んでいただけるような…

そのようなプレゼントはないだろうか？」

とても真剣な目で聞いてくる草壁さん。

ま、まずい、完全に気を抜いていた……

う～～ん………

『お、お花とかどうでしょうか』

案をなんとか絞り出す。

「それは…"花束"ということか？」

『いや、えーと……あっ！

応接室に飾るってどうですか！』

思いつくままに声に出してみる。

…あれ、これ結構良いアイデアなんじゃ？

「うむ… 予算もあまりかからないし、名案かもしれないな」

草壁さんは腕を組んで眉間にしわを寄せた後、

「よし、それで行こう！」

頼もしい声でそう言った。