ケーキ - 2 ページ15
「なら話は早いね」
ぶちぶちぶち！
男「え？」
Aの自由になった手が壁を叩くと、ぽろぽろとコンクリートがはがれ落ちた。
「はあ！」
男に向けて放たれた拳は、しかしすれすれのところで避けられてしまう。
男「あ、あぶねぇー！」
Aの四肢が届かないところまで距離をとる男。
男「でももう身動きがとれないはずだぜ」
「っ！」
思い切り衝撃を与えられたことで崩れた壁が、なんとAの右手を固定させてしまっている。 左手ではハンマーを上手くコントロールできないため動いている相手には使えない。
「う、抜けない…！」
眉間に皺を寄せるA。 動いて傷を増やすも、右手が自由になることはなかった。
男「取引が成功してから殺すつもりだったんだけどなあ…
自分で死期を早めちまったなあ！」
チャッ
男がナイフを取り出し、大振りな突きでAを襲う。
ギリギリで身をかわすと耳元でヒュンッと空気を切る音がした。
「……死期を早めたのはあなたのほうだね」
男の身体が自分に被さるその一瞬を見逃さず、前後の足をスイッチして膝蹴りをくらわせる。
男「う゛…」
「私が焦ったのは、あなたが逃げると思ったから」
パタリと倒れた男を見て、靴下の中から小さなサイズのハンマーを取り出した。
「動かないなら左手でも大丈夫だね」
ハンマーを持ち上げると、大工が使うほどの一般的な大きさにし、
容赦なく振り下ろした。
ドーン！
「あ、抜けた」
どうやらハンマーの衝撃で右手も自由になったようだった。
再び小指ほどの大きさに戻したハンマーを靴下に入れ、男がしばらく目覚めないことを確認すると、落ちていたロープ(男が使ったものの残りだろう)で全身を縛った。
そしてどこかへ電話をかける。
「もしもし、ボンゴレの方ですか？ 引き取ってほしい人物がいて。 はい、場所は……」
ハル「あ！ Aちゃんいた！ どこ行ってたんですか？」
黒川「もう、探したんだから」
脇道から数メートルのところで3人は立ち止まっていた。
「ちょっと………靴ひもを結んでて」
京子「そっか！ もう大丈夫？」
「うん。 ぎゅーっと結んだからね」
【END】
4.憂鬱【獄寺隼人】→←3.ケーキ【笹川京子/三浦ハル/黒川花】
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作者名：波紋セラーノ | 作成日時：2020年4月26日 16時
