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その時カタリと、牢の扉が音をたてた。
食事の時間か? ダイキかイノーか……。
頑丈な扉の上の位置にある小窓が開く。


「ヤブ……ユウヤ……」

「!? っヒカル!」


ヤブは立ち上がり、小窓へ近寄った。
小扉をスライドさせ見える太い鉄格子の向こう、間違いなくヒカルがそこにいる。
伏せた横顔をヤブに見せている。


「ヒカル良かった。体調戻ったんだな」

「う…うん……。起きられたの昨日……。ヤブたちに会いたいって…イノちゃんに無理言って……」

「そっち向いて喋ってないでオレの方見ろよ。顔、見せろよ……」


ヤブが言うと、ヒカルがゆっくりと前を向く。
それでも伏せたままの瞼。格子越しにヤブは頬に指を伸ばした。
頬に触れるとヒカルがやっと顔を向けた。


「ひっでー顔。むくみすぎ」


わざとそう笑ったけれど、ヒカルは今こうして立っていられるのが不思議なほど青ざめ窶れた顔色をしていた。
ヒカルもうるんだ瞳のまま、少し笑う。


「うっせ…。ヤブも…盗賊みてぇな顔……」

「ずっと閉じ込められてるからな。髭も伸びて男前だろ」


こんな軽口の応酬がしたいわけじゃないのに、口を付くのはくだらないことばかり。
ただ、ヒカルの頬に伸ばした指を外すことはできなくて。
笑いながらも流れてきた、ヒカルの涙を拭うことしかできなくて。


「ヤブ……ユウヤ……ごめん……。嘘、ついてて……。オレたち、姫なんて、本当にやりたくなくて……。大人になるまで…だって我慢して……それが林檎のせいで……本当になりそうで……」

「それで燃やそうとしたんだな。だがオレも父たちの復讐だということは言っていなかった。お互い様だ」

「お父さん……ヤブのお父さん……コータ先生……タカキ先生……」


ヒカルがヤブの指を払うように強く頭を振る。
大粒の涙がキラキラと頬を流れた。





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SK329(プロフ) - ずみさん» コメントありがとうございますっ!やっぱり男子が良いですよねぇ、ドレス姿になるにはいつも羞恥が欲しいです笑 まだなにも浮かんでませんが、次またファンタジーやったらまたまた雷になりそうな予感があります笑 (2019年12月11日 11時) (レス) id: f6c245c48e (このIDを非表示/違反報告)
ずみ - 完結おめでとうございます!sk329さんのファンタジーは毎回ワクワクさせるもの。雷の設定がだいすきです。やぶひかは男にしてくれてありがとう! (2019年12月10日 1時) (レス) id: 61e430b579 (このIDを非表示/違反報告)
SK329(プロフ) - なえさん» コメントありがとうございますっ!dkwk嬉しいですっ物語が破綻しないで良かった(*´∀`*) 続編もよろしくお願いいたしますっ (2019年12月9日 13時) (レス) id: f6c245c48e (このIDを非表示/違反報告)
SK329(プロフ) - ひーさん» コメントありがとうございますっ!雷、なんかイメージに合うんですよね!火より雷。単に黄色だから?笑 双子設定も楽しく書けたのでそう言っていただけると嬉しいですっ。続編もよろしくお願いいたしますっ (2019年12月9日 13時) (レス) id: f6c245c48e (このIDを非表示/違反報告)
SK329(プロフ) - しろくまさん» ありがとうございますっ!父と子…確かに。でも気づけば勝手になんです、多分書きやすいのです笑 王国は明確にモデルいましたが、かごめと今回は単にやな奴ですね汗 そしてパレード、ラストの竜のとこ恐れ多いけれども合う…と思ってしまいました汗 (2019年12月9日 13時) (レス) id: f6c245c48e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SK329 | 作成日時:2019年10月8日 16時

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