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｢寂しいな｣
でも何より寂しいのは、忘れられてしまうことだと分かったのは、入院が始まって2週間ほどたった頃だった。
『またあそぼうね』
と言っておいて、友人は一度も見舞いに来ない。一週間前までは盛んだった手紙のやり取りも、三日前を境に返事が来ない。
きっと会わないうちに、誰もが私のことを忘れていくんだなぁと思うと、寂しくて、悲しかった。
みんな私のことなんてどうでもいいんのだろうなぁと思った。夜は廊下に響く見回りの足音に怯え、冷たい布団の中で震えて泣いた。
それでも私が笑っていられたのは───
｢A！｣
｢かつき、病院じゃ大きな声は駄目なんだよ｣
──きっと、"ヒーロー"のお陰だと。
勝己だけは、毎日見舞いに来てくれた。
幸い、勝己の家から病院はそこまで遠くもなく。自転車を飛ばせばそこまで時間がかからずに着く位の距離だった。
デクもよく見舞いに来てくれたが、｢俺よりも先に来るなよ！｣と勝己に怒られ、それでも少し遅めの時間にひょっこりと顔を出してくれた。
勝己は、学校で今日何があったか。デクがどーだとかアイツがどーだとか。そんな話を取り留めもなくしながら、私の手をきゅっと握って。
毎日、来てくれた。
──あぁ、私は独りじゃないんだ
──私のことを忘れないでいてくれる人がいるんだ
そう、思えた。
勝己がいたから、きっと私は寂しくなくて済んだ。
──だから、そんな君はきっと
──ヒーローだな、と。
私は思ったのだ。
私は小学校6年生の途中から学校へと戻った。友人達が何食わぬ顔で｢治ってよかったね｣と言ったのに、笑顔を返せたのはきっと勝己のお陰だろう。
その後、私は小学校卒業と共に関西の方へ引越し、中学校生活の殆どを病院で過ごした。
勝己には勿論会えないし、行先も住所も告げていない。
それでも──
私は勝己の事を忘れたことは無かった。
いつの日かそう、勝己が、私のことを忘れないでいてくれたから。
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はっしー - 泣けますね。ラストが、、、、、。爆豪君も結婚して、、、。意外です。面白かったです。 (2017年8月14日 4時) (
レス) id: 789bdf4173 (このIDを非表示/違反報告)
天照月夜(プロフ) - 泣いたァ (2017年7月26日 3時) (レス) id: d4fab0f3f8 (このIDを非表示/違反報告)
漱(プロフ) - まーやさん» コメントありがとうございます…！ラストは結構悩んだんですけど報われない感じになっちゃいました…。切なさを感じてもらえたのであれば幸いです！ (2017年6月11日 15時) (レス) id: 7bc15f0ad8 (このIDを非表示/違反報告)
まーや(プロフ) - 死んじゃうのぉぉぉぉぉぉぉ！？切ないですね！←(空気ぶち壊し) (2017年6月11日 10時) (レス) id: 54dce99bb8 (このIDを非表示/違反報告)
漱(プロフ) - 残念なイケメン系女子さん» コメントありがとうございます！誤字指摘ありがとうございます、修正しておきました！ (2017年6月11日 10時) (レス) id: 7bc15f0ad8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：漱 | 作成日時：2017年4月23日 14時
