残念でしたとは。 ページ18
No side
『金色夜叉』に貫かれた胸部から血が流れ落ちる。
浅い息を繰り返し床に伏せる谷崎を、Aはくすくすと笑い見下ろした。
『無理に動くのはお勧めしないな。死を早めるだけだ』
「な、んで、此処に、」
谷崎は思わず目を見開く。
自分が此処に来るのが判っていた、そんな言い方に。
反応が面白いのか、Aは笑みを絶やさない。
人差し指を立て、まるで種明かしする
『まず君が取引材料に選ばれた理由は異能にある。手足が自由になれば幻像異能で姿を消し、誰にも見つからずに此処を脱出できるからね。
けれど、君の性格上大人しく逃げずに勇気を持って我等の首領を殺しに来ると考えた。だから場所を教えた』
「教えたッて...!?」
___『あそこは最上階で、警備も最高レベル。今下手に動かせばそれこそ危険だよ』___
立原とのやり取りを思い出し、ハッとする。
真逆、わざと場所を言ったのか?
信じられない、とAを見れば人差し指を唇に当てほくそ笑んだ。
『首領を探すのに本部内をウロつかれたら困るからね』
身体中で鳥肌が立ち、寒気が走った。
Aは森が眠る場所とセキュリティ状況、移動させない事を言った。
つまり話術で谷崎をこの部屋まで誘導したのだ。
しかも自らの首領を餌にして。
けれど実際、それは唱える為の罠で洗脳だった。
本来の捕食者はポートマフィアで、美味しい餌は探偵社。
凡てはAの掌の中。
ギリ、と奥歯を噛みAを睨む。
「まるで、ボク等の作戦が、失敗する事を判っていたみたいな...口振りだな」
『当り前さ』
「は」
唖然とする谷崎にAは淡々と言う。
『
つまり、
その場でしゃがみ、谷崎と目を合わせる。
『残念だけど、最初から君等に勝ち目なんて無かったンだよ』
深い金色の瞳は、氷のように冷たかった。
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玲佳(プロフ) - 凄く面白かったです! (2019年12月31日 19時) (レス) id: 30c7137208 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ちびうささん» そう言っていただけて光栄です。イラスト…!!是非お願いします、ありがとうございます!!待ってます(正座)更新頑張りますね! (2019年1月29日 0時) (レス) id: 5c7b126db4 (このIDを非表示/違反報告)
ちびうさ(プロフ) - この小説シリーズ面白くてあっという間に読んでしまった、、、。私ツイッターとかでお絵かきしてるのですがよろしければ参謀ちゃんのイラスト描かせていただきたいです!!更新楽しみに待ってます!!! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f5433967f3 (このIDを非表示/違反報告)
はつり(プロフ) - RANAさん» もちろんです!ありがとうございます〜 (2019年1月18日 20時) (レス) id: 3cbdf99785 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - はつりさん» わざわざありがとうございます!!和装徳永とても嬉しいです!!!おにぎりは森さんに買ってもらったんですね(( ありがとうございます!!もしよろしければ小説に載せたいのですがいいでしょうか? (2019年1月18日 19時) (レス) id: 5c7b126db4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年7月1日 18時