【文スト】参謀とは。4

作戦会議とは。 ページ14

No side


Aは書類を見つめ黙っている。

その中、太宰が案を出していた。


「...潜入から爆弾？」

「無理だろ。通信から狙撃で着水して失敗だな」


乱歩が即答で駄目出しした。
太宰は暫く考えた後、「本当だ」と納得してまた考える。

思いついたのか、また口を開いた。


「じゃあ特務課突入から賢治くんだと？」

「無理。地上戦になって痛み分け延長戦」


これも即答での駄目出しだった。


太宰はぐでーっと長机に突っ伏する。
項垂れたかと思えば、ずっと黙っているAの方を向いた。


「A〜、何か良い案は思いついたかい？」


数秒の沈黙の後、パサリと書類を置く音がした。


『...敦くんは？』


部屋の隅にいた敦は、いきなり自分の名前を呼ばれたので声を上げて驚く。


乱歩は数秒考えると一つ頷いた。


「ま、『細雪』を使えば悪くない」

「潜入経路は？」

「それこそ特務課だな」


案が決定した。


Aは椅子の背凭れに体重を預け、大きな欠伸をした。
隣では太宰が機嫌良さげに紙飛行機を作ってそれを飛ばす。


「すぐ掛かります。最後は山？」

「海だ」

「了解」


二人の会話に、聞いていた敦は不思議に思うばかり。
その会話の意味を知るのは、もう少し先のこと。

コツン、と紙飛行機が当たり静かに落ちた。


太宰が必要な書類を集めていると、「あ」と呟いた。


「例の件は私が話をつけれますけど、これは如何しましょう？」

「社長に頼んだら？」

『いや、私がやりますよ』


乱歩から貰ったドーナツを頬張りながらAが言った。

太宰は少し考えると納得したように頷いた。


「あぁ、あの人か」

『うん。たぶん、いいよって言ってくれるし。さっそく電話してみるわ』


そう言ってドーナツを食べ終えると、椅子から立ち上がった。

携帯を取り出しながら部屋を出ていくAの背中を、敦は不思議そうに見つめていた。
一体誰に電話するのだろう、と思っていると名前を呼ばれる。


「敦くん」

「あ、はい」

「今から作戦を説明したから、こっちに来てくれるかい？」

「ッはい！」


組合(ギルド)との直接対決は、すぐ目の前へと近づいていた。





廊下の奥へと来たAは携帯を見つめていた。


一つ息をつくと、液晶画面をスライドさせ、耳に当てる。
何回かの呼び出し音が途切れ、代わりに「もしもし」と声が聞こえていた。


『...私だけど、今いい？』


彼女もまた、組合(ギルド)を倒すための手段に出た。

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