漆幕 ページ10
炭治郎が持っていた傷薬で再び治療した後、清から改めて事情を聞いた。
鬼に攫われ、喰われそうになったところを違う鬼が二人やってきた。すると清を誰が喰うかで殺し合いが始まり…そして今に至る。
炭治郎は顎に手を当て、脳の片隅にあった言葉を引っ張り出す。
「"稀血"…あの鬼はそんなことを言っていたが…」
「そうだ、そう…俺の事マレチって呼ぶんだ」
「カァーア!!」
突如、どこからか現れた炭治郎の鎹鴉が鳴いた。
喋る鴉など一般人は見た事ない。
清とてる子は驚き、小さな悲鳴を上げた。
炭治郎が注意するのも気にせず、鴉は話し出す。
「稀血トハ!!珍シキ血の持チ主デアル!!」
「珍しき血?どういう事だ?」
「ソコノ小娘!オ前ナラ知ッテイルダロウ!!」
黒い翼を広げ、首をAにぐるりと向ける。
説明しろという事だ。
察したAは「鴉さんの仰せの通りに」と説明を始めた。
『生き物の血にはね、それぞれ種類があるんだよ。___』
その中でも稀血と呼ばれる、数少ない珍しい血を持った生き物が存在する。稀血の中でもさらに少ない稀血であればある程、一人で五十人、百人の人間を喰べたのと同じくらい栄養がある。
故に稀血は鬼の好物であり、狙われやすい。
説明を聞いていた三人は青ざめる。
特に稀血持ちである清、てる子は震えてしまっていた。
炭治郎はなんて言葉を掛けたらいいか迷っていると、きつい"あの"匂いがした。
_あの鬼だ。
ちらりとAに視線を向けると頷かれた。彼女も気付いているようだ。
「…俺はこの部屋を出る」
「えっ」
「落ち着いて、大丈夫だ。鬼を倒しに行って来るだけだから」
行かないで、と目で訴える清を宥める。
そして自分が部屋から出たらすぐに鼓を打って部屋を移動するように言った。
「もう少しだけ頑張れるか?」と炭治郎が問うと、二人は決心した表情で頷いた。えらいな、と軽く撫でた後Aに視線を向けた。
「Aはここに残ってくれないか?万が一、鬼が出て、鼓が叩けない状態になった時のために」
『…うん、問題ない。鬼はよろしく』
「ああ、ありがとう。俺が倒したらたぶん鼓は消えるから、そしたら外に出てくれ」
炭治郎は立ち上がり、走り出す。
その先にはさっき対峙した、鼓の鬼がいた。
「叩け!」と言う合図で清が鼓を叩く。部屋は変わり、炭治郎の姿は見えなくなった。
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RANA(プロフ) - 鴉蒼さん» ご指摘ありがとうございます。いつも注意しながら書いているのですが、時々見逃してしまいますので、またあったら教えてくださるとうれしいです。 (2020年4月6日 12時) (レス) id: 37ff009e06 (このIDを非表示/違反報告)
鴉蒼 - 富岡さんになってますよ…冨岡さんです… (2020年4月6日 9時) (レス) id: 96316f1cbb (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - RANAさん» 教えてくれてありがとうございます!!楽しんで読んでます!更新頑張ってください! (2020年2月22日 20時) (レス) id: a856ca8d9b (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - サラダさん» "うすい"と読みます!!読みにくくてすみません (2020年2月22日 20時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 夢主の名字の読み方がわからないのですが、、、出来れば教えてください!!! (2020年2月22日 20時) (レス) id: a856ca8d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2019年11月19日 0時