玖幕 ページ12
清を背に背負い、てる子を連れてAは部屋を出た。
どうやら一階だったらしく、廊下を歩けば入り口から洩れる光が見えた。ホッと息をつくところだが、激しくぶつかり合う気配に首を傾げる。
『…喧嘩してるっぽいね』
「え、喧嘩?」
『竈門さんと知らない気配が、ね。屋敷を駆けずり回ってた人かな』
なんだろう、と三人で顔を見合わせ、取り敢えず外に出てみる事にした。
角を曲がり、入り口である引き戸から出る。
すると、目を疑うような光景が広がっていた。目を疑うよりも、驚きで目を丸くする方が正しいのかもしれないが、とにかく、信じられない光景があった。
『えーっと…どういう状況なのかな、これ』
猪と炭治郎が
動物の猪ではなく、猪の頭の皮を被った人間と、だ。
全く意味が判らない。
炭治郎は次々に来る攻撃を避けるか捌いているが、正に攻撃の嵐と言っていい程、相手が止める様子が無い。
ふと視線を外すと、木の下で顔が血塗れの善逸と血を拭こうとする正一を見つけた。
そっちへ行くと、兄妹三人やっと揃って感動の再会となった。が、善逸とAはそれどころではなく、只目の前の現状に困惑していた。
『…取り敢えず、説明をお願いしたいんだけども』
「Aちゃん!!来てくれてよかったあああ!!俺もうどうする事も出来ないよぉぉぉ」
『うんうん。落ち着いてー』
Aを見るなり大泣きしだす善逸を上手く宥め、事情を聞く。
どうやら善逸と正一が一足先に外に出た時、あの猪の頭の皮を被った人間も屋敷から出てきたらしい。炭治郎が"命よりも大切なもの"と言っていた箱を見つけるなり斬りかかってきたので、善逸が必死に護っていた。
暫くして炭治郎が現れ、こうして闘いが始まってしまったという。
「成る程ねえ」一回頷き、視線を彼らへと戻す。
猪の頭の皮を被った人間の攻撃は異様に低く、炭治郎は苦戦していた。あれでは拉致が明かない、日が暮れてしまう。
止めるしかないかと一歩踏み出そうとした時、
「ちょっと落ち着けェ!!」
炭治郎が頭突きしたと同時に、何かが潰れたようなというか砕けた音がした。耳が良い善逸は特に聞こえ、「うわああああ!!」と叫び、頭突きされたわけでもないのに自分の頭を押さえた。
「音!!ねぇ音!!Aちゃん聞こえた!!?」
『うん……あれ、骨いったよね』
Aでさえ、少し顔を顰めていた。
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RANA(プロフ) - 鴉蒼さん» ご指摘ありがとうございます。いつも注意しながら書いているのですが、時々見逃してしまいますので、またあったら教えてくださるとうれしいです。 (2020年4月6日 12時) (レス) id: 37ff009e06 (このIDを非表示/違反報告)
鴉蒼 - 富岡さんになってますよ…冨岡さんです… (2020年4月6日 9時) (レス) id: 96316f1cbb (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - RANAさん» 教えてくれてありがとうございます!!楽しんで読んでます!更新頑張ってください! (2020年2月22日 20時) (レス) id: a856ca8d9b (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - サラダさん» "うすい"と読みます!!読みにくくてすみません (2020年2月22日 20時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 夢主の名字の読み方がわからないのですが、、、出来れば教えてください!!! (2020年2月22日 20時) (レス) id: a856ca8d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2019年11月19日 0時