検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:102,086 hit

玖幕 ページ12

清を背に背負い、てる子を連れてAは部屋を出た。

どうやら一階だったらしく、廊下を歩けば入り口から洩れる光が見えた。ホッと息をつくところだが、激しくぶつかり合う気配に首を傾げる。


『…喧嘩してるっぽいね』

「え、喧嘩?」

『竈門さんと知らない気配が、ね。屋敷を駆けずり回ってた人かな』


なんだろう、と三人で顔を見合わせ、取り敢えず外に出てみる事にした。


角を曲がり、入り口である引き戸から出る。
すると、目を疑うような光景が広がっていた。目を疑うよりも、驚きで目を丸くする方が正しいのかもしれないが、とにかく、信じられない光景があった。


『えーっと…どういう状況なのかな、これ』


猪と炭治郎が()り合っていた。
動物の猪ではなく、猪の頭の皮を被った人間と、だ。

全く意味が判らない。


炭治郎は次々に来る攻撃を避けるか捌いているが、正に攻撃の嵐と言っていい程、相手が止める様子が無い。


ふと視線を外すと、木の下で顔が血塗れの善逸と血を拭こうとする正一を見つけた。

そっちへ行くと、兄妹三人やっと揃って感動の再会となった。が、善逸とAはそれどころではなく、只目の前の現状に困惑していた。


『…取り敢えず、説明をお願いしたいんだけども』

「Aちゃん!!来てくれてよかったあああ!!俺もうどうする事も出来ないよぉぉぉ」

『うんうん。落ち着いてー』


Aを見るなり大泣きしだす善逸を上手く宥め、事情を聞く。

どうやら善逸と正一が一足先に外に出た時、あの猪の頭の皮を被った人間も屋敷から出てきたらしい。炭治郎が"命よりも大切なもの"と言っていた箱を見つけるなり斬りかかってきたので、善逸が必死に護っていた。
暫くして炭治郎が現れ、こうして闘いが始まってしまったという。


「成る程ねえ」一回頷き、視線を彼らへと戻す。

猪の頭の皮を被った人間の攻撃は異様に低く、炭治郎は苦戦していた。あれでは拉致が明かない、日が暮れてしまう。


止めるしかないかと一歩踏み出そうとした時、


「ちょっと落ち着けェ!!」


炭治郎が頭突きしたと同時に、何かが潰れたようなというか砕けた音がした。耳が良い善逸は特に聞こえ、「うわああああ!!」と叫び、頭突きされたわけでもないのに自分の頭を押さえた。


「音!!ねぇ音!!Aちゃん聞こえた!!?」

『うん……あれ、骨いったよね』


Aでさえ、少し顔を顰めていた。

拾幕→←捌幕



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (63 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
128人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

RANA(プロフ) - 鴉蒼さん» ご指摘ありがとうございます。いつも注意しながら書いているのですが、時々見逃してしまいますので、またあったら教えてくださるとうれしいです。 (2020年4月6日 12時) (レス) id: 37ff009e06 (このIDを非表示/違反報告)
鴉蒼 - 富岡さんになってますよ…冨岡さんです… (2020年4月6日 9時) (レス) id: 96316f1cbb (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - RANAさん» 教えてくれてありがとうございます!!楽しんで読んでます!更新頑張ってください! (2020年2月22日 20時) (レス) id: a856ca8d9b (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - サラダさん» "うすい"と読みます!!読みにくくてすみません (2020年2月22日 20時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 夢主の名字の読み方がわからないのですが、、、出来れば教えてください!!! (2020年2月22日 20時) (レス) id: a856ca8d9b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2019年11月19日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。