【文スト】参謀とは。2

新入社員とは。 ページ12

No side


敦は無事、探偵事務所に生きて帰ってくることが出来た。
だが問題は鏡花だ。彼女は大きな罪がある。"35人殺し"という罪を。

果たして、探偵社は許すだろうか？

彼女と対立しないだろうか？


そんな考えが敦の頭の中を駆け巡る。
兎に角、出社時間なので扉を開けた。


｢お早う御座いま…………｣


目の前に広がる奇妙な光景。

それは、鏡花にメイド服を着させる女性陣とそれを写真に収める谷崎。


｢何やってんすか｣


思わず敦はそう言った。


とりあえず鏡花の服装は元通りになった。
敦は全員に何故こうなったのか聞くと


｢いやぁ。だって彼女、何着ても似合うンだもの｣

｢や、そこではなくて｣


谷崎が嬉しそう気いうが鋭く指摘する。そして国木田を見た。


｢国木田さん……｣

｢そんな目で見るな、敦。俺も止めたのだ｣

｢大丈夫でしょうか｣


敦が心配するのは、やはり鏡花は殺人犯だからという理由である。
それに、乱歩は非常識なところはあるが、規則を重んじる。


｢あ、それは大丈夫｣


谷崎が云うと、丁度乱歩が帰ってきた。


｢だだいまぁ〜！｣


そしてすぐさま鏡花のところへ。

何故か。


｢乱歩さんが一番浮かれてるから｣


敦は何も言えなくなった。

そして、ある疑問を抱く。鏡花が探偵社にいる理由だ。


｢私が呼んだ｣


後ろから威厳のある声が聞こえた。
振り返れば福沢が手を組んで立っている。


国木田と話した後、鏡花を見る。
鏡花は自ら福沢の前へと向かい、立ち止まる。


｢此処に置いてください｣

｢え！？｣


予想外の発言に中島はソファから立ち上がる。

なんでもする、と言う鏡花に国木田は忠告した。だが彼女は


｢殺人のほかに何も出来ないと、あいつ(・・・)はいった。そうかもしれないけれど、違うと自分に証明したい｣


それは、彼女の本心だった。
今迄、機械のようにポートマフィアに尽くしていた彼女の、人間らしい言葉。

鏡花の言葉を受け、敦も福沢に頭を下げる。


｢僕からもお願いします！｣


福沢は鏡花を見る。

鏡花は更に前へ出た。そして顔の前で手を組み合わせる。


二人はしばらく見つめ合う。


｢・・・｣

｢お願いです......｣


鏡花がボソッと言う。
瞬間


｢採用｣

｢え！？｣


福沢から許可が出た。

......可愛さに負けたのだろうか。


｢面倒を見てやれ｣と敦に云い、事務所を出た。


｢…あんな顔、初めてみた｣


谷崎の言葉に周りの者は激しく頷いたのだった。

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